インフレの脅威が再燃している中でも、エコノミストらは欧州中央銀行(ECB)が2027年まで政策金利を据え置くとみている。ブルームバーグが行った調査でわかった。

ブルームバーグが6-11日に実施した調査では、年末までに利上げがあると予想しているのは、回答者のわずか7%で、2027年末まで利上げを見込んでいるのも3分の1未満だった。

市場の見方とは対照的だ。市場は、ECBが7月までに中銀預金金利を0.25ポイント引き上げ2.25%とし、年末までにさらに2.5%に引き上げる確率が3分の2と織り込んでいる。

この見解の相違の核心は、イラン戦争が続く期間の見方にある。調査対象者は、戦争が短期間で終結すると予測している。

調査期間後の12日、イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師は、ホルムズ海峡は閉鎖されたままであるべきであり、米国とイスラエルが攻撃を継続する場合、イランは戦争の新たな戦線を開くことを検討すると述べた。一方、トランプ米大統領は、イランの核兵器保有と脅威を阻止することが、石油価格よりも「はるかに重要であり、関心が高い」と発言した。

ECBの政策当局者らは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後に起きたような急激な物価高騰が起きる可能性を警戒している。当局者は介入の準備は整っていると述べているが、現時点では、戦争がいつまで続くかについて、さまざまな兆候を分析しているところで、市場に様子見を呼びかけている。

ABNアムロのユーロ圏担当シニアエコノミスト、ビル・ディバニー氏は「影響について確固たる結論を出すには、明らかに時期尚早だ。政策委員会はインフレへの影響に対して警戒感を示し、必要であれば行動する用意があることを表明するだろう」と語った。

戦争の期間

回答者の5人に4人は、ECBの次の一手が利上げになる可能性が高いと見ている。前回調査時点では59%だった。今回の調査では、60%近くが、以前よりもインフレの上振れリスクが強まっていると見ており、2%の物価目標を下回るよりも上回る方がより大きな脅威だと答えた回答者は70%に上った。

こうした変化があるにもかかわらず、19日の政策委員会会合での中銀預金金利の変更を予測するエコノミストはいなかった。約3分の2が、戦争が経済見通しを根本的に変えるかどうかを判断するには時期尚早だとしている。

トランプ米大統領は当初、戦争の期間を「4-5週間」と述べ、後に「まもなく」終結する可能性があると語った。これに対し、イスラエルのカッツ国防相は、「勝利が達成される」まで戦闘は続くとしている。

アナリストらはトランプ氏の見方に傾いている。回答は「1-2週間」から「10カ月」まで幅があるものの、半数以上が3-5週間続くと予想している。

SEBのエコノミスト、ピア・フロムレット氏は「エネルギー価格の高止まりが長引くほど、二次的な波及効果や中期的なインフレへの影響が生じるリスクが高まる」と述べた。

不透明感

アナリストらは、ECBが今年のインフレ見通しを引き上げると予測しており、その半数近くは2027年の見通しも上昇すると見込んでいる。ただ、基礎的な物価上昇圧力が同様に高まるとは、それほど確信していないようだ。

回答者らは、経済成長への短期的な影響についてはさらに不透明感を抱いている。80%近くが、19日に政策決定と同時に発表される四半期経済予測には、「限定的」あるいは「極めて限定的」な情報しか含まれないとみている。

その理由として、3分の2以上が予測の算出方法を挙げた。多くの回答者が、モデルに組み込まれる市場データの締め切り日が、過去の慣例に基づけばイラン戦争以前に設定されていたはずだと指摘している。

ベルリン工科大学国際経営学部のデニス・シェン講師は「現段階では、新たな予測がイラン戦争の影響を十分に反映している可能性は低い。ECBは、どちらかと言えば目隠しをした状態で進んでいると感じるだろう」と述べた。

原題:Economists See ECB Holding Rates Until 2028 in Split From Market(抜粋)

--取材協力:James Hirai.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.