イランが米国やイスラエル、湾岸諸国への報復攻撃を激化させる中、ロシアが背後でイランを情報面から支援しているとの懸念が強まっている。また、中国もイランに手を貸している可能性もあり、戦争が拡大する中で、米国の敵対国同士の連携の深まりが浮き彫りになっている。

西側諸国の情報機関の内情を知る複数の関係者によると、ロシアは現在、さまざまな情報をイランに提供し、中東地域に展開する米軍への反撃を後押ししている。具体的には衛星画像やドローン(無人機)の標的設定戦術などが含まれるという。

イランに提供されている情報がどの程度有効かつタイムリーなもので、ロシアがどの程度の頻度で実行可能な情報を供与しているのかは不明だと、ある関係者は匿名を条件に話した。だが、こうした動きはロシアがウクライナ侵攻でイラン製ドローン「シャヘド」に大きく依存するなど、両国が互いに重要な存在であることを反映している。

英国のヒーリー国防相は12日、ロンドンでの軍事ブリーフィングで「イランの戦術や戦闘能力の背後に、プーチン氏の見えざる手があると聞いても誰も驚かないだろう」と述べた。

その上で「イランの攻撃パターンには、ウクライナに対するロシアの攻撃手法の特徴が如実に表れている」と指摘。攻撃に関して両国がいかに関係を深化してきたかを踏まえれば、想定される展開だとも述べた。

ロシアは2022年のウクライナ侵攻後に国際的孤立を深め、イランや北朝鮮など米国の地政学的な敵対国に支援を求めるようになった。それ以降、イランとの軍事協力は深まっており、現在は、中国も何らかの形でイランを支援している可能性があるとの懸念が出ている。

今週初めにイランに関する情報説明を受けた民主党のブルーメンソル上院議員は、ロシアが「情報や、場合によっては他の手段で、積極的かつ集中的にイランを支援しているようだ」と述べ、「中国もイランを支援している可能性がある」と付け加えた。

ワシントンの中国大使館の報道官は12日の声明で、中国の関与に関する「根拠のない非難に異議を唱える」と述べ、中国は「緊張緩和と平和回復に向けて建設的な役割を果たしている」との立場を示した。

米国のウィトコフ特使は10日、CNBCとのインタビューで、ロシアのプーチン大統領がトランプ大統領との電話会談でイランへの情報共有を否定したと明らかにした。

しかし、プーチン氏はイランに対する「揺るぎない支持」を明確に表明し、米国とイスラエルによる空爆開始時に父親が殺害されたイランの新最高指導者モジタバ・ハメネイ師の就任を祝福している。また、戦争を巡りトランプ氏を批判することは避けつつも、イランの信頼できるパートナーであり続けると誓っている。

ロシアはイラン製の一方向型攻撃ドローンを使い、ウクライナの都市やエネルギーインフラを繰り返し攻撃してきた。イランはその後、ロシアが同型の致命的ドローンを自国で大量生産するための技術も供与した。

ウクライナ戦争での支援の見返りとして、ロシアは長年にわたり機密性の高い軍事ノウハウを共有してきた。こうしたやり取りは、イランと米国、イスラエル、湾岸諸国との紛争を受け、ここ数日でさらに深まっている。ロシアの情報支援の一部は米紙ワシントン・ポストとCNNが先に報じた。

元米情報機関高官で、現在は新アメリカ安全保障センター(CNAS)に所属するアンドレア・ケンドールテイラー氏は「教訓の共有はウクライナ戦争を通じて進んできたが、その影響が今、現れている」とし、「現実の事例でリアルタイムに起きているのを目にしている」と述べた。

同氏は、敵に最大限の打撃を与える手段として石油インフラを標的とするイランの戦術は、ロシアのウクライナ侵攻から受動的または直接的に得た可能性があると指摘。ロシアはまた、パトリオットミサイルや戦術地対地ミサイル「ATACMS」など米国製兵器への対抗経験も有しており、「そうしたノウハウもイランと共有できる」と語った。

原題:Putin’s ‘Hidden Hand’ Guides Iran’s Strikes in Widening War (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.