(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁は、イラン戦争とインフレへの影響を受けて、ECBは想定より早く利上げを迫られる可能性があると指摘した。
カジミール氏はECBがなお「良い位置」にあり、来週の会合で行動する必要はないとしつつも、2022年の域内インフレショックの記憶で企業の値上げや消費者の賃上げ要求のハードルが下がっていることを懸念している。
同氏は10日、フランクフルトでインタビューに応じ、「当面は冷静さを保つ必要がある」と語る一方、「ECBの対応は多くの人が考えるよりも近い可能性がある」との認識を示した。「4月や6月について推測するつもりはない。ただ、必要であれば行動する用意はある」と述べた。
トレーダーらは6月以降の利上げに傾きつつある。中東での紛争によるエネルギー価格の高騰がECBの行動を促すとの見方からだ。ただ、トランプ米大統領が戦争の早期終結の可能性に言及したことを受け、年内2回の0.25ポイント利上げを見込む9日の動きは後退した。
カジミール氏の発言後、6月までの利上げ確率は60%と織り込まれている。年内にもう1回利上げが行われる確率は約35%だ。
ECB当局者は忍耐強さを促しているが、4年前にユーロ圏のインフレ率が10%を超えた後、物価安定を回復するために積み上げてきた成果が危うくなっていることを認識している。
カジミール氏は「状況は非常に不安定で、劇的ですらある。市場や政治家がパニックに陥ること自体がリスクになり得る」と述べた。
イラン情勢が緊迫化する前から状況に満足していなかったと示唆した。サービス価格の粘着性が強いほか、モノの価格鈍化も十分ではなく、利益率が拡大している点を挙げた。現在はさらに懸念を強めている。
「インフレに関するリスクバランスは明らかに上振れ方向にシフトした」と述べ、「インフレが目標を下回るという議論は忘れてよい」とカジミール氏は語った。
今月および6月に公表予定の四半期経済予測は必須条件ではないとの見解も示した。「新たな予測がなくても利上げは可能だ。明らかなのは、追加利下げの検討は完全に選択肢から外れたということだ」と話した。
不確実性があるにもかかわらず、なお成長に「かなり楽観的」で、スタグフレーションについてはそれほど心配していないとも述べた。
原題:ECB Hike Potentially Closer Than Thought, Kazimir Says (2)(抜粋)
--取材協力:James Hirai.
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