国際エネルギー機関(IEA)は過去最大の石油備蓄放出を提案したと、事情に詳しい関係者が明らかにした。この決定は11日中に行われる可能性があるという。

関係者によると、IEAの提案は約3億-4億バレルの範囲の備蓄放出。中東での戦争によるエネルギー価格高騰を各国は抑えようとしている。IEAは経済協力開発機構(OECD)加盟国の石油備蓄放出を取りまとめている。

一方、日本政府はIEAがまとめる協調放出の決定を待たず、16日にも日本単独で備蓄を放出することを決定した。ドイツはIEAの提案が受け入れられれば、備蓄の一部を放出すると、ライヒェ経済相が説明した。

フランスのレスキュール財務相は、主要7カ国(G7)首脳が11日に会議を開き、備蓄放出を協議すると述べた。G7は戦略備蓄の放出を含む「積極的な措置」を原則的に支持する意向を示していたが、備蓄放出に踏み切る場合の詳細な規模については明らかにしていなかった。

10日にはG7のエネルギー担当相がIEAとオンラインで協議。11日に公表した声明で、「戦略備蓄の活用を含め、状況に対処するための積極的な措置の実施」を原則として支持すると表明した。

IEAはコメントの要請に今のところ応じていない。

石油海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の事実上の閉鎖が続き、原油価格は9日の取引で一時120ドル近くまで上昇した。だが、トランプ米大統領が戦争の早期終結を示唆したことや、各国政府が石油備蓄を放出するとの期待から、相場は大きく反落した。

IEAが提案する放出規模は、2022年にロシアによるウクライナ侵攻を受けてIEA加盟国が市場に放出した1億8200万バレルを上回る。ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)は過去最大の備蓄放出が計画されていると、先んじて報じていた。

IEAによると、加盟32カ国の石油備蓄は合計で12億バレルを超える。

市場に届くまで時間差も

ホルムズ海峡の航行がほぼ停止され、貯蔵能力が限界に近づくサウジアラビアなどペルシャ湾岸の主要産油4カ国は、合計で世界生産の約6%に相当する量の生産削減を実施。10日にはアラブ首長国連邦(UAE)が国内最大のルワイス製油所について、同地域に無人機(ドローン)の攻撃があったため予防措置として操業を停止した。

トレーダーやアナリストの間では、石油消費国が備蓄を放出しても、供給不足を速やかに埋められるのか疑問視する向きもある。

シティグループの試算によると、ペルシャ湾岸諸国からの供給減少は日量1100万~1600万バレルに上る。米国が戦略石油備蓄(SPR)を可能な限り最大限放出し、他のIEA加盟国の放出分を加えても、供給減の一部しか補えない恐れがある。

米エネルギー省のウェブサイトによれば、SPRの最大放出能力は日量440万バレル。大統領が放出を決定してから公開市場にこの石油が届くまでには13日かかる。

IEAが石油備蓄放出を勧告したことはこれまでに5回ある。1991年の湾岸戦争にかけての時期と、05年に米南東部をハリケーン「リタ」と「カトリーナ」が襲った後、11年のリビア内戦勃発後、そしてロシアのウクライナ侵攻に起因する市場の混乱に対応として打ち出した22年の2回だ。

原題:IEA Proposes Massive Release of Emergency Oil Stockpiles (2)、Germany Says Ready to Release Part of National Oil Reserve(抜粋)

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