(ブルームバーグ):人工知能(AI)の軍事利用を巡る米国防総省とアンソロピックの対立は、シリコンバレー全体を巻き込んだAIの安全性に関する争いに発展する様相を呈してきた。
アマゾン・ドット・コムやアルファベット、マイクロソフト、オープンAIの従業員を含む2つの労働者連合は、自社のAI製品の無制限使用を求める国防総省の要求を拒否し、アンソロピックと足並みをそろえるよう求めた。
ソーシャルメディア上では、テック企業幹部によるアンソロピックへの支持も相次いでいる。
アルファベット、マイクロソフト、アマゾンの社内組織などに属する従業員らは27日、「各社の経営陣は国防総省の要求を拒否するとともに、国土安全保障省(DHS)や税関・国境警備局(CBP)、移民・税関捜査局(ICE)を含む他の抑圧的な政府機関との契約について、従業員に透明性を提供しなければならない」と公開書簡で述べた。
これとは別に、アルファベットやオープンAIの従業員らも今週、経営陣に対して見解の相違を乗り越え、「米国防総省が許可を求めている国内での大規模監視や人間の監督なしの殺傷を目的とするAI使用を団結して拒否すべき」と書簡で主張した。
前例なき措置
争点となっているのが、アンソロピックのAIツール「クロード(Claude)」の用途制限だ。国防総省は制限なく利用することを求めているのに対し、アンソロピックは米市民への大規模監視や自律型兵器開発への使用に反対している。
国防総省はアンソロピックが要求に従わない場合、大統領の権限で民間企業を統制できる「国防生産法(DPA)」を発動する構えだ。また同社をサプライチェーン上のリスクに指定する可能性を示唆している。
国防生産法は、政府が緊急事態時に重要資源を確保できるようにすることが目的だ。トランプ大統領は1期目に新型コロナウイルス禍で医療品などの増産に同法を活用。バイデン前大統領は乳児用粉ミルク不足への対応で発動した。
だが、冷戦時代の法律である同法を用いて新興テック企業に対して、ソフトウエアの利用方法を巡る国防総省の要求を受け入れさせるのは前例のない試みだ。
またアンソロピックをサプライチェーン上のリスクに指定すれば、他の防衛関連企業との取引ができなくなる可能性がある。こうした指定は通常、中国やロシアのような国家支援を受ける組織が対象だ。
ただ、こうした措置は数多くの法的問題を提起する。国防総省が実行すれば、法廷で争われるのはほぼ確実な見通しだ。
いずれの措置も、アンソロピックの政府向け案件獲得に壊滅的な打撃を与える恐れがある。焦点となっているのは、同社が米軍向けに実施することで合意している最大2億ドル(約310億円)相当の業務だ。他の政府機関との契約も危うくなる可能性がある。
原題:Anthropic’s Feud With Pentagon Mushrooms Into Broader Battle、The Cold War Era Law at the Center of Hegseth’s Anthropic Threat(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.