(ブルームバーグ):週末に一時的かつ混乱した形で再開されたエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡の商業航行は、米国によるイラン船の初の拿捕(だほ)を受け、20日に事実上停止状態に陥った。同海峡での活動再開の難しさが改めて浮き彫りとなっている。
7週間にわたるイラン戦争で、ホルムズ海峡の航行はほぼ途絶えてきた。米国とイスラエルによる攻撃への報復としてイランが管理を強化したためだ。17日には、イランが再開を発表し、この停滞は終わったかに見えた。これを受けて原油価格は急落し、船舶はホルムズ海峡に殺到したが、状況は急速に悪化した。
19日までに米海軍がオマーン湾に面するイランのジャスク港沖で、ホルムズ海峡に向かっていたイランの貨物船を拿捕した。米国による封鎖で初の措置となる。同地域で操業する船主にとってのリスクを高め、危険と見なされる水域が広がった。原油価格はこれを受けて急上昇しており、歴史的な供給危機がさらに長期化する様相を強めている。
ボルテクサのアジア太平洋分析責任者アイバン・マシューズ氏は、「不安定な状況が続く中で、大半の船主が慎重な『様子見』姿勢を取るようになるだろう」と述べた。
航行中の石油製品タンカーの一つ、「Nova Crest」は現在、ララク島のすぐ南に位置し、ホルムズ海峡からオマーン湾に向かっている。同船はロシア産原油取引への関与を理由に英国や欧州連合(EU)、スイスの制裁対象となっており、目的地としてアラブ首長国連邦(UAE)のホール・ファッカンを示している。
反対方向には、米国の制裁対象である液化石油ガス(LPG)運搬船「Axon I」がフジャイラからホルムズ海峡に向かって航行し、目的地としてUAEのシャルジャが示されている。その近くには中型タンカー「Starway」が航行し、次の寄港地としてUAEのハムリヤが表示されている。
液化天然ガス(LNG)タンカーも再開の兆しを受けて海峡に接近していたが、最終的には引き返すか、状況の明確化を待って停船している。
米国とイランの脆弱(ぜいじゃく)な停戦は21日末に期限を迎える。これが延長されるかどうか、米・イラン当局者の協議がパキスタンの首都イスラマバードで週内に実施されるかは不透明だ。
原題:Hormuz Traffic at Standstill as US Vessel Seizure Widens Risk(抜粋)
--取材協力:Yongchang Chin.
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