(ブルームバーグ):ホワイトハウスが先の衆議院選での高市早苗首相の地滑り的勝利を歓迎したのは当然だろう。日本が防衛力を強化し、アジアの平和維持でより大きな責任を担う可能性について国民の信任を得たからだ。
だが、それは米国が同盟を深化させる理由であって、関与を後退させる口実ではない。
もっとも、日本の有権者が高市氏の公約のさまざまな側面に反応したことも事実だ。減税や景気刺激策に積極的で、かつ決断力ある成長重視のリーダーとして期待した向きもいる。
あるいは、台湾有事を巡る発言の撤回を迫り、露骨な威圧を強める中国に対して、高市氏の毅然とした対応を評価した有権者もいるだろう。
いずれにせよ、高市氏が自衛隊の予算拡大や武器輸出拡大に向けた制度整備、さらには憲法改正も見据えた防衛力の強化を目指していることは、有権者にとって明白だったはずだ。
高市氏の勝利は、韓国やオーストラリアなど関係国との連携強化を通じて中国の覇権に対抗するという日本の取り組みを後押しする。すでに一部の国は、日本製の防衛装備品を購入し、自衛隊と共同訓練を実施しているほか、中国本土に依存したサプライチェーンのリスク低減で日本と協力している。
武器輸出規制の緩和は販売を一段と押し上げ、規模は小さいながらも高度な技術を有する日本の防衛産業基盤を強化するだろう。日本が自信を深めれば、フィリピンのようなアジアの小さなパートナー国の権利を守り、中国の経済的威圧への対抗を支える上で、一段と積極的になる可能性が高い。
米国はかねて、日本に対してこうしたリーダーシップを求めてきた。だが、現在のトランプ政権は、少なくとも欧州に関して、米国の関与を減らすために同盟国に対して自国防衛への負担増を迫っている。
米国防総省の新たな国家防衛戦略(NDS)では、中国を抑止するため日本の南西諸島と台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に強固な防衛体制を構築すると明記したが、トランプ政権がその負担の一部を日本に転嫁しようとの誘惑に駆られる可能性はある。
トランプ大統領が4月に予定される習近平国家主席との米中首脳会談を前に、目立った中国批判を控えていることも、日本の懸念を強めている。
実のところ、これは日米協力を深化させる好機であるはずだ。自衛隊を増強し、能力を一段と強めるにつれ、日本の部隊と装備品が米軍との相互運用性を高めていくよう、米国は確実にすべきだ。
国防総省は計画通り、作戦遂行に当たるより強力な指揮官を日本に配置し、有事に備えこれまで以上に統一された指揮系統の構築を目指す必要がある。
日米は台湾に最も近い沖縄県与那国島での施設整備を継続し、ミサイル防衛の統合も進めるべきだ。地対空誘導弾パトリオットミサイルや迎撃ミサイルSM3といった重要兵器の共同生産を拡大し、米軍艦向けのモジュール建造といった新たなプロジェクトも検討する必要がある。
また日米に豪州とインドを加えた4カ国による枠組み「クアッド」で、サプライチェーンに関する協力を重要鉱物だけでなく、半導体や医薬品、ロボット工学、バッテリーなどにも広げるべきだ。
ワシントンで3月に予定される高市氏とトランプ氏の首脳会談は、日米のパートナーシップを確認し、新たな目標を掲げるチャンスとなる。
交渉の優位性を何より重視するトランプ氏にとって、習氏との会談を前に日米同盟をさらに強固なものにできれば、他のほぼ何物にも代え難い強力な切り札になるだろう。
原題:A Stronger Japan Deserves More US Support, Not Less: Editorial(抜粋)
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