安全な人工知能(AI)開発を掲げるアンソロピックが、同社の中核となる安全方針を緩和した。急速に変化する分野で競争力を維持するために必要な措置だと説明した。

同社は2023年に公表した「責任ある拡張ポリシー(Responsible Scaling Policy)」で、危険な可能性があるAI開発は遅らせるとしていた。24日のブログ投稿で、競合他社に対して大きな先行優位を確保していないと判断した場合には、開発を遅らせない方針に改めたと明らかにした。

「ポリシー環境はAIの競争力や経済成長を優先する方向にシフトしている一方、安全性重視の議論は連邦政府レベルで十分な進展を見ていない」とアンソロピックは投稿で説明した。

アンソロピックは安全重視を掲げることで、オープンAIやアルファベット傘下のグーグル、イーロン・マスク氏のxAIなど競合勢との差別化を図ってきた経緯があり、今回の方針転換は予想外の動きだ。アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)はかつてオープンAIに在籍していたが、同社が安全性よりも商業化やスピードを優先しているとの懸念から退社した。

両社は現在、早ければ年内の新規株式公開(IPO)を目指している。アンソロピックの企業価値は直近で3800億ドル(約59兆5300億円)と評価される一方、オープンAIは8500億ドル超の評価額で資金調達を進めている。

アンソロピックの広報担当者は「AI進展のスピードやこの分野の不確実性を踏まえれば、方針を迅速に見直し、改善を重ねていく必要があると当初から述べてきた」と語った。

今回の方針変更については、タイム誌が先に報じていた。

アンソロピックは自社のAIツール、クロード(Claude)の利用に関する制限を求め米国防総省と対立している。国防総省は24日、同社の技術を米軍が利用できるようにするため、冷戦時代に成立した「国防生産法」を発動して技術の提供を強制する可能性があると警告。27日までに政府の条件を受け入れるよう迫っている。

今月初めには、アンソロピックのシニア安全研究者、ムリナンク・シャルマ氏が会社を去った。同氏はXに投稿した同僚宛ての書簡で、自身が「絶えず現状と向き合わざるを得ない状況にある」と記述。

その上で「世界は危機に瀕している。しかも、脅威はAIや生物兵器に限らず、今まさに進行中の相互に絡み合った一連の危機に見舞われている」と述べていた。

同氏に今回の方針修正についてコメントを求めたが、現時点で得られていない。

原題:Anthropic Drops Hallmark Safety Pledge in Race With AI Peers (2)(抜粋)

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--取材協力:Vlad Savov.

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