ニューヨークを10年ぶりの大雪が埋め尽くした2日前、気象予報官は降雪量の見極めに苦戦していた。従来型の米国モデルは一貫して大雪を予測した一方、新しい人工知能(AI)システムが弾き出したのはやや異なる予測だった。

長年使われてきた全球予報システム(GFS)は、北東部の広範囲で甚大な影響を示唆した。しかし過去の精度への懐疑的な見方と、GFSだけが大きな影響を予測していたことから、多くの予報官はニューヨークの一部で30センチメートルを超える積雪がある可能性を公に示すのを、20日の午後まで見合わせた。

米国立気象局の報告によると、マンハッタンのセントラルパークで約50センチメートルと観測史上有数の大雪となった。ロングアイランドの積雪は60センチメートルを超えた。

強い暴風雪の予測には特有の難しさがあると、科学者らは指摘する。海上で発生し数日間をかけて陸地に接近するハリケーンと異なり、「ノーイースター」と呼ばれる米東海岸特有の低気圧性暴風雪は、24時間かけて発達し、東海岸を直撃することが多い。今週の場合は、寒気と湿った空気の波がどこで合流し、ジェット気流の低圧部と相互作用するかを数日前から予測する必要があった。

米気象予報センターのメリーランド州支部で上級予報官を務めるボブ・オラベック氏は、この課題において人工知能(AI)モデルは十分に貢献できていないと話す。

「完全なモデルはまだ見当たらない。それが問題だ」と述べた。

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

米国では国立気象局(NWS)が警報を発令し、それを民間の予報会社が再配信する。ニューヨーク市とニュージャージー、コネティカット両州の一部を担当するのはニューヨーク州アップトン支部だ。ここのデービッド・スターク予報官は、最初の注意報発令が20日にずれ込んだのは、暴風雪の進路予想がなかなか定まらなかったからだと説明した。

「早めに警告を出しておいて、後で不要な警報だったと思われるのは望ましくない」とスターク氏は述べた。

GFSは連邦政府の科学機関である米国海洋大気庁(NOAA)が開発した。ニューヨーク市への影響は最終的にGFSの予測通りだったが、大西洋沿岸中部での脅威は過大評価され、嵐の継続時間も予想とやや異なったと科学者は指摘する。こうした結果を踏まえて予報官は慎重になっている。GFSは来週初めに大きな嵐が再来する可能性を示しているからだ。

来週初めに北東部で大雪を予測しているのはGFSだけでなく、従来型では最良とされる欧州の予報モデルも同様の兆候を捉えている。しかし新しい欧州のAIモデルは24日午前の時点で、この脅威を低めに見ている。

今後数日で各モデルによる予報は変わり得るが、コロンビア大学気候大学院の研究員、アンドルー・クルツキービッツ氏は当局が一般向けに警告を発する前に、AIの予測をどれほど優先するかに注目している。

「何でもAIの方が優れていると、われわれは思い込まされている」とクルツキービッツ氏は語る。「優秀なモデルで質が高いとの評価があったとしても、決定を下すのはそう単純ではない」と述べた。

原題:AI Lost Out to Traditional Models in Forecasting NYC’s Blizzard(抜粋)

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