(ブルームバーグ):ロシア軍は死傷者の増加で、今後数カ月の間はウクライナに大規模な攻勢を仕掛けられない可能性が高いと、西側当局者はみている。
匿名を条件に語った当局者によれば、ロシア軍が戦場で被っている人的損失は、3カ月連続で新たに採用した兵士の数を上回っている。この傾向は、春か夏の攻勢を画策するプーチン大統領の計算に狂いを生じさせる可能性があるという。
ロシアは月に3万~3万5000人の新兵調達を維持できているが、これを上回る死傷者数が続いているため戦力の維持が難しくなり、より大規模な動員に踏み切る可能性が生じていると、当局者は指摘した。
欧州で発生した戦争としては第2次大戦後最大の犠牲を伴っているロシアによるウクライナ侵攻は、今週で5年目に入る。米国が主導する外交による戦争終結の取り組みは失速。プーチン氏は2022年に30万人の予備役を招集する部分動員をかけたが、それにより数十万人が国外に脱出し、市民の不満が高まったことから、以降は大規模な動員令を控えている。
英国のカーンズ国防担当閣外相は、プーチン氏には貧しい農村部ではなく、ロシアの都市部での新兵採用活動を強化するなどの選択肢が残っていると指摘した。
「死傷者数の増加が認められ、規模が釣り合わなくなっている。とりわけ夏に向かう中で、ロシアの経済状況は一部でかなり不安定化しつつある」とカーンズ氏はロンドンで記者団に語った。
都市部での採用を強化すれば、「人口密集地域での政治的支持を損ね、失い始める」可能性が高いとの見方も示した。モスクワやサンクトペテルブルク、ノボシビルスク、エカテリンブルクなどの都市では、ウクライナ侵攻開始以降、多額の入隊ボーナスが提示されている。
要塞ベルト
ロシアは死傷者数を公表していない。数十万人に入隊を促し、戦争に駆り出す上で、ロシア軍は高額の契約時ボーナスと給与への依存を強めている。少なくともこれまでは、ロシア当局は年間の入隊者数目標は達成されていると説明してきた。
だが、ヒーリー英国防相は今月ブルームバーグに対し、人的損失の拡大でロシアは外国人戦闘員への依存を強めていると主張。ロシアのために戦っている北朝鮮兵の数は約1万7000人に上るとし、インド、パキスタン、ネパール、キューバ、ナイジェリア、セネガルからも数千人が採用されていると語った。
それでも、全長1200キロメートルにわたる前線はこう着状態だ。西側当局者は、最も激しい戦闘が展開されてきたウクライナ東部ドネツク州のいわゆる「要塞ベルト」に対し、ロシアが集中的に攻勢をかける可能性があるとみている。または、ウクライナ南部ザポリージャ市への進軍を目指すという選択をすることもあり得るという。
原題:Russian Offensive Hampered by War Losses, Western Officials Say(抜粋)
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