米連邦最高裁はトランプ大統領が打ち出した大規模な関税措置について効力を認めないとの判断を下し、これに対して同大統領が世界一律で15%の関税を設ける方針を示した。敗訴による税還付も見越して日本を含む各国企業は米政府を相手に訴訟を起こしているが、最高裁はどの程度の税還付を受けられるか判断を示しておらず、手続きには混乱も予想される。

最高裁は20日に1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置について、大統領権限の逸脱に当たると判断した。これを受けてトランプ大統領は世界一律10%の関税を課すと発表。翌21日に15%に引き上げると表明していた。鉄鋼やアルミ製品、自動車や自動車部品は1962年通商拡大法232条に基づいており、今回の判決の対象外になる。

トランプ政権が敗訴した場合に備えて、これまで支払った多額の関税の返還を受けようと多くの企業が米政府を相手取って訴訟を起こしている。今年1月時点の裁判記録によると、1000を超える企業が法廷闘争に関与していた。これには日本企業も含まれている。

そのうちの1社であるウシオ電機の広報担当者は、米国際貿易裁判所(CIT)への提訴は仮に還付可能という判断になったときに還付請求できるように行った手続きであるとした上で、CITの判断に従って対応していくとコメントした。

米国の政治・経済動向に詳しい丸紅経済研究所の今村卓社長は、下級審からの経緯を見ても「どう見ても違憲だった」とコメント。還付に関しては言及されていないものの、法的に無効な税を課したという意味で「返ってこないとおかしい」との考えを示した。

一方で集団訴訟ではないため、違憲となったからといって全額還付されるとはいかないとも指摘。トランプ政権はさまざまな理由をつけて支払いを渋り続けると思われ「その間は混乱になるという見方が大勢」だとみている。

リコーは、同社としては司法判断の内容について精査が必要と認識しているとした上で、今後の事業環境への影響について引き続き注視していくと述べた。豊田通商は「最高裁の判断についてコメントする立場になく、状況を注視している」とコメント。住友化学はコメントを控えるとした。

Photographer: Tim Rue/Bloomberg

訴訟の原告に含まれる日本企業には他に横浜ゴムや川崎重工業などがある。法人原告の約4分の1は米国以外の国・地域に親会社があり、最高裁の判断の世界的な影響の大きさを示している。

今村氏は15%の世界一律関税は150日限定の暫定措置であり、その後は議会の承認を得ないと延長できないため継続の可能性は低くなるとの見方を示す。企業は払った関税額と裁判費用を「てんびんにかけるような話になってくる」とし、個々の訴訟にすべて対応するのは米当局にとっても、「対応能力の限界を超えてくるところはあるだろう」と述べた。

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