国内金利の上昇(債券価格は下落)を受け、生命保険会社が保有する日本国債などの国内債含み損が拡大している。日本生命保険など大手4社の合計は昨年12月末時点で13兆2460億円となり、9月末と比べて約2兆円拡大した。

日本生命が18日発表した2025年10-12月期(第3四半期)末の国内債券の含み損は5兆4519億円と9月末から7632億円増えた。13日に公表済みの第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険を含め大手4社すべてで拡大した。

金利上昇の背景には、昨年10月に発足した高市早苗政権による積極的な財政政策への懸念や日本銀行の追加利上げ観測がある。第3四半期の国債市場では大手生保などが主な投資対象とする超長期債を中心に利回りが急上昇した。中でも30年債と40年債の利回りは12月20日に過去最高を記録した。

 

生保各社は国内債券については一般的に満期保有を前提としている。ただ、時価が取得価格の50%を下回り、回復の見込みがない場合、差額を計上する減損処理が会計上定められている。各社は低利回り債券を売却し、高利回り債券を購入するなどポートフォリオの入れ替えを進めている。

第一生命は今期(26年3月期)の国内債券ポートフォリオ(円建て確定利付資産)の入れ替え見通しについて、昨年11月の想定から2000億円上積みして1兆2000億円とすると公表した。入れ替えなどに伴う売却損は1500億円増えて約3500億円となる見込み。

こうした中、日本公認会計士協会は17日、長期間の保険契約を持つ生保に認められている「責任準備金対応債券」について、一定の条件を満たした場合は「満期保有目的の債券に準ずるもの」として取り扱い、減損処理を適用しないとする会計ルールの見直し草案を公表した。

 

バークレイズ証券の門田真一郎為替債券調査部長は、「減損処理の必要性がなくなるという方向性が見えたことはポジティブだ」と指摘。コロナ禍前後に購入した低金利の国内債券の一部は減損処理に抵触する水準まで価格が下落しているが、実際に対応する必要性は一定程度後退したとみている。ただ、ポートフォリオの利回り向上のため、入れ替えは継続する可能性があると述べた。

銀行窓口に異変

一方で金利上昇は、保険という金融商品の売れ行きにも影響し始めたようだ。過去の超低金利時代には予定利回りが預金金利よりも高かったが、こうした保険商品の相対的な魅力が低下しているためだ。

T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険では第3四半期の解約失効率(年換算保険料ベース)は4.87%と上昇傾向にある。IR部長の伊藤智司氏は13日の電話会議で、「増えているのは窓販の解約。金利が上昇しているので想定以上に解約されている状況だ」と説明した。

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