(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、 ナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は16日、ユーロ建てステーブルコインについて、中銀デジタル通貨(CBDC)「デジタルユーロ」導入を推進するECBの動きを補完し、低コストの国際送金を実現する有用な手段になり得ると語った。
ステーブルコインは価格の安定を実現するよう設計された暗号資産(仮想通貨)で、法定通貨を担保としたり、金や原油など商品価格に連動させたりする仕組みを通じて、実用性を高めることを目指す。
一方、ECBは昨年10月、独自のデジタルユーロを2029年にも発行する可能性があると発表した。実現すれば、日米欧の主要中銀で初のCBDCとなる。
トランプ米大統領は、暗号資産をより主流の資産にすることに力を注いでおり、ドルを裏付けとするステーブルコインが欧州で定着し、地域の銀行や通貨の主権を脅かすのではないかという不安の高まりもECBの動きを後押しする。
ナーゲル・ドイツ連銀総裁は、欧州と米国との摩擦に言及しつつ、デジタルユーロ導入に向けたECBの取り組みを強調し、欧州は決済システムの独立性を高めるべきだと主張した。
ドイツの米国商工会議所で開かれたイベントで、ナーゲル総裁は「ユーロ建てステーブルコインには価値がある。低コストで個人や企業の国際決済に利用可能だ」との認識を示した。

ナーゲル氏の発言は、ユーロに連動するステーブルコインを巡るECBの姿勢が一層柔軟になりつつある様子をうかがわせる。ドルの支配に加え、ステーブルコインが民間で発行され、金融の安定を脅かす恐れがあることを一部の当局者は不安視していた。
同氏は先週、「ユーロシステムは中銀通貨に直接関係しないDLT(分散型台帳技術)ベースの決済手段、特にトークン化された預金とユーロ建てステーブルコインを支援できるのではないか」と述べていた。
原題:ECB’s Nagel Touts Euro-Denominated Stablecoins for Payments(抜粋)
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