(ブルームバーグ):カナダ政府は防衛産業戦略に基づき、拡大する軍事予算のより多くを国内企業に振り向ける。10年間で5000億カナダ・ドル(約56兆円)を超える投資を生み出すことを目指す。
政府は10年間でカナダ防衛産業の売上高を3倍超とするほか、防衛輸出を50%増やし、12万5000人の雇用を創出したい考え。防衛調達全体に占めるカナダ企業への発注比率を70%に引き上げる目標が政策の柱となる。装備品の多くを米軍需企業に依存してきたカナダにとって大きな転換だ。
カーニー首相は先週、この戦略を公表する予定だったが、ブリティッシュコロンビア州の銃乱射事件を受け、発表を延期した。
政府の狙いは、軍事支出の優先分野を投資家に示すとともに、関税の影響を受けるカナダの製造業を下支えし、安全保障面での対米依存を減らすことにある。
文書では「帝国主義的な侵略の終焉(しゅうえん)や欧州における平和の持続性、旧来の同盟関係の強靱(きょうじん)性といった長年の前提が覆された」との文言が盛り込まれ、「カナダが自国防衛を維持し、自らの主権を守る能力を備えることは、これまで以上に重要だ」と記された。

カナダは強硬な米政権や北極圏におけるロシアの活動への懸念の高まりを背景に、数十年ぶりとなる規模の軍事強化に着手。北大西洋条約機構(NATO)の支出目標で後れを取ってきたカナダは、軍事費の増額を急いでいる。NATO加盟国は2035年までに防衛・安全保障費の対国内総生産(GDP)比を5%に引き上げることで合意している。
戦略文書は、米国に関する懸念を関税の文脈でのみ明確に言及する一方、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でのカーニー首相の演説を想起させる形で、トランプ大統領の同盟への関与を弱める姿勢やより対立的な外交政策に暗に触れた。ロシアには一度言及しているが、中国が北極圏での影響力を拡大しているにもかかわらず、中国の名を挙げていない。

トランプ政権による鉄鋼・アルミニウム関税が生産者に打撃となっており、今回の戦略は防衛仕様の製品への転換支援も約束している。それでも「カナダには米国と緊密に協力してきた長い歴史があり、米国との強固な防衛関係の継続を期待している」との文言も見られた。
カーニー氏は長年の課題に取り組もうとしている。カナダは研究開発では強みを持つが、商業化に苦戦してきた。今回の戦略は1億500万カナダ・ドル規模のドローン革新拠点や新たな科学・研究防衛諮問委員会、4億6000万カナダ・ドルの研究開発プラットフォームを設けることを打ち出している。
原題:Carney Plots ‘Buy Canada’ Defense Strategy to Unlock Billions(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.