インドで16日、世界最大級の人工知能(AI)サミットが開幕する。最先端モデルの開発を巡る激しい競争の中で、モディ印首相はインドの進路を切り開きたい考えだ。

ニューデリーで開催される「インドAIインパクトサミット」には、世界の首脳やテック業界の大物、AI関連企業の創業者、投資家らが集まる見通しで、AI分野の著名人が一堂に会する場としては過去最大規模となる可能性がある。アルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)、OpenAIのサム・アルトマンCEO、アンソロピックのダリオ・アモデイCEO、メタ・プラットフォームズのアレクサンダー・ワン氏らが招待客に名を連ね、研究者ではヤン・ルカン氏やアーサー・メンシュ氏も出席予定だ。

サミット終盤2日間の19日と20日には、フランスのマクロン大統領が基調講演を行い、その後にモディ首相が演説する。

モディ首相にとって今回のサミットは、デジタル技術に精通した人口やエンジニア人材を多く抱えるインドの強みをアピールし、世界的なAI競争の次の局面で優位に立つ可能性を示す機会となる。インドには、生体認証ID制度「Aadhaar」によって識別される10億人超の市民データに支えられたデジタル基盤がある。パソコン普及の波には乗り遅れたものの、ソフトウエアサービス大国へと成長し、固定電話が限られていた状況から20年足らずで10億台近いスマートフォンが普及するなど、出遅れながらも技術を急速に拡大してきた実績がある。

電子・情報技術省の高官アビシェク・シン氏は「既存のデジタルIDや決済基盤、医療、教育、行政のシステム上にAIを重ねることで、インドは数十年分の発展を数年に圧縮しようとしている」と述べ、「インド向けに構築されたものは、インドにとどまらない」と語った。

インドはすでに、デジタルIDと決済の設計図を海外に輸出している。Aadhaarのアーキテクチャーに着想を得たオープンソース基盤「MOSIP」は、フィリピンやモロッコ、ウガンダなどの国民ID制度構築を支援している。一部の国は同じ基盤の上にデジタル決済プラットフォームを構築している。

スタンフォード大学の人間中心のAI研究所の評価によると、インドはAI競争力の面で、米国、中国に次ぐ世界3位に位置している。

世界のテック企業も注目している。OpenAIとアンソロピックはインドで拠点設立を進め、企業顧客や開発者、政府機関の取り込みを図っている。グーグルとメタは、対話型生成AIのChatGPTやGemini、Claudeといったモデルの成長市場の一つであるインド向けにデータセンターを拡張。米国による中国向け高性能半導体の輸出規制に直面するエヌビディアはインドを対抗軸とみなしている。

原題:India Seeks Role in Shaping AI Future With Summit of Tech Chiefs(抜粋)

--取材協力:Vlad Savov.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.