日産自動車は12日、今期(2026年3月期)の営業赤字予想を600億円と従来見通し(2750億円)から大幅に引き上げた。イヴァン・エスピノーサ社長がこの1年取り組んできたリストラを含む固定費削減に支えられたが、肝心の自動車販売は低調なままで、当面は気を抜けない事業展開が続きそうだ。

日産が示した新たな営業損失見通しはブルームバーグが事前に集計したアナリスト予想の平均値1431億円の赤字を大幅に上回る内容。発表資料によると、通期では調達や生産コストなどものづくりに関する費用が従来見通しから営業損益ベースで1050億円、為替が800億円の改善要因となった。25年10-12月(第3四半期)は赤字を見込んでいた市場予想に反して175億円の営業黒字転換を果たしている。

エスピノーサ氏は横浜市の本社での記者会見で、「日産は回復への正しい軌道に乗っている」と述べた。業績は「厳しい販売環境を反映しているものの、断固たる施策が事業を安定化させ、回復の基盤を整えていることを示している」と語った。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、財務的には改善しているとした上で、販売面など本業の改善によるものではなく、「今後の持続性には確信が持ちにくい」と述べた。

通期の世界販売台数見通しは日本や欧州が想定を下回っていることなどで320万台と従来から5万台引き下げた。一方、今期の想定為替レートを1ドル=149円、1ユーロ=173円と従来見通しからそれぞれ3円と5円円安方向に修正した。

一方、これまで未定としていた今期の純損益見通しに関しては6500億円の赤字とした。日産として過去3番目に大きい巨額赤字で市場予想(2962億円の赤字)に比べて大幅に悪い内容だが、主に再建に伴う構造改革費用や第4四半期に発生する可能性がある追加の費用などの計上によるもので、大部分は現金の支出を伴わないとしている。

エスピノーサ氏は会見で、今期は当初からリストラの1年と言ってきたとして、純損失の規模は想定通りだと述べた。

販売面では電気自動車(EV)などの比率が高く、低コストを強みとする現地メーカーとの競争が激化している中国で健闘しており、販売を下支えしている。第3四半期の中国販売は前年同期比13%増の17万8000台と他地域のマイナスを補った。

エスピノーサ氏は中国から車両を他地域に輸出する計画について、中東や南半球の国々など同社が中国メーカーの攻勢に晒されている市場が仕向け先になり得るとの考えを示した。一部の車種のモデルで近々始めるという。

(会見でのコメントなどを追加して更新します)

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