(ブルームバーグ):フジ・メディア・ホールディングス株は、株主の野村絢氏や関連会社レノなどの保有株買い取りと自社株買いを発表した。物言う株主(アクティビスト)である野村氏側との対立は、フジHD側が譲歩するかたちで収束した。
アクティビストが分離を要求していた不動産事業に外部資本を入れる検討も始める。自社株買いは発行済み株式総数(自己株式を除く)の34.37%、2350億円を上限に実施する。フジHDの広報担当者によれば、自己株式立会外買付取引を決めた日の終値で買う見込み。また野村氏らの保有分は直近で18%程度という。
ただ、株価は4日に大きく下落。一時前日比12%安の3475円と2024年8月5日以来の日中下落率となった。野村氏らとの妥結で株価上昇圧力がなくなり、利益確定で売りが膨らんだ模様だ。
東海東京インテリジェンスラボのアナリスト、山田健三郎氏は、コンテンツビジネスの競争が激しくなる中で中長期的に成長できるか疑問もあるとの見方を示した。SMBC日興証券の前田栄二アナリストは3日付けのリポートで、不動産事業への外部資本導入に注目するとした。
フジHDはこれまで主力のメディアビジネスの成長には、不動産事業で稼いだ収益の投資が欠かせないと主張していたが、姿勢を一転させたかたちだ。同社の清水賢治社長は3日夜の記者会見で、企業価値向上の必要性という部分で「一致点を見た」と説明した。
清水社長は、多額の資金が必要な不動産事業の拡大には外部と協力することが成長につながるとの考えを示す一方、「完全売却も選択肢から除外していない」と述べた。今後主力のメディアビジネスに集中するかたちになる。
同社はまた、今期(2026年3月期)末の配当予想を増額。これにより年間配当は1株あたり125円と従来予想から75円増額される見通しだ。来期から2年間は200円にするとしている。
フジHDは昨年12月、野村氏から大規模買い付け行為等趣旨説明書を受けたと発表。野村氏は、不動産事業の再編などの要求が通らなければ、関連会社のレノなどと最大33.3%まで株式を買い増す意向があると明らかにしていた。
その際、不動産事業の完全売却やスピンオフ、または株主資本配当率(DOE)4%を下限とする株主還元方針を公表した場合には買い増しを行わないなどとしていた。
フジHDを巡っては、元タレントの中居正広氏による女性への性暴力問題をきっかけに、アクティビストなどからの外圧が高まっていた。同社は今回の自社株買いや増配の背景としてメディア事業での着実な広告収入の回復など業績の改善が進んでいることを挙げた。

(アナリストのコメントなどを追加して更新します)
--取材協力:古川有希.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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