新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、人々を直接死に至らしめただけではなかった。新たな研究によると、新型コロナ禍の影響で、米国の心不全による死亡率(人口比)の上昇傾向が2020年以降、加速した可能性がある。同死亡率は1999年以降、低下していたが、2011年前後に上昇に転じていた。

米国心臓病学会誌に12日に掲載された論文は、同死亡率の上昇は若年成人や黒人で特に顕著であり、医療体制の混乱に加え、コロナ禍の間に糖尿病や肥満、高血圧などが悪化したことが背景にあると指摘した。

心不全は、パンデミックが慢性疾患に対して持続的な影響を及ぼしていることを示す明確な兆候の1つとして浮上している。心臓発作や脳卒中が突発的な疾患であるのに対し、心不全は累積的なダメージを反映し、定期診療や長期管理が途切れた場合、特に影響を受けやすい。

論文の共著者で、同学会誌編集長を務めるエール大学心臓専門医、ハーラン・クルムホルツ氏は心不全による死亡率の上昇加速について、単一の原因ではなく、複数の要因が重なった結果だと指摘。心血管・代謝系のリスクが若い年齢から高まる傾向は以前から見られ、パンデミック中も続いたが、その一方で、医療の混乱や診断の遅れ、継続的な診療の欠如によって一部の患者は重症化のリスクにさらされたと説明した。

論文によると、コロナ禍初期に同死亡率の上昇が加速し、その後持続しており、65歳未満の成人や男性、黒人、地方在住者、南部・中西部の住民に特に顕著な上昇が見られた。

米国立保健統計センター(NCHS)によれば、2024年には心不全を基礎死因とする死亡は9万2000人超で、心不全が死因の一因とされたのは42万3000人超だった。死亡率は高齢者で最も高かったが、若年層や中年層で急上昇していることを心臓専門医は懸念している。

この研究結果は、診療が再開しワクチンが行き渡った後も、パンデミックによる心血管系への悪影響が続いたことを改めて裏付けた。心不全による死亡が増え続ければ、パンデミック後の心疾患死亡の主要因となり、コロナ禍前の改善を後退させる恐れがある。とりわけ、慢性疾患の負担が重い人々への影響は深刻だ。

原題:Heart Failure Deaths Have Accelerated in US Since Covid Pandemic(抜粋)

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