トランプ米大統領は16日、ホルムズ海峡の安全確保に向け各国に支援を改めて要請した。イラン戦争で原油市場と世界の海運の動揺が続く中、トランプ氏はイランがほぼ壊滅状態にあるとも述べた。

トランプ氏はホワイトハウスでのイベントで記者団に対し、「多くの国が向かっていると言っている。非常に積極的な国もあれば、そうでない国もある。われわれが長年支援してきた国もある」と語った。

同氏は、船舶の海峡通航を支援するよう求める自身の呼びかけに対し、各国が公には明確な態度を示していないことに不満を示した。同日遅くには、支援を要請している国の一つである中国に対し、習近平国家主席との首脳会談を約1カ月延期するよう求めたと明らかにした。イラン戦争の対応を監督するためワシントンにとどまることが重要だと説明した。

同氏は北大西洋条約機構(NATO)などを名指しし、これまで防衛で「数百億ドル規模」を米国に依存してきたにもかかわらず、要請に応じて行動していないと主張した。

トランプ大統領の発言

こうした発言は、ここ数日続く一連の攻撃とも重なり、地域情勢を揺るがす戦闘を双方ともに緩める気配がないことを示している。米国が今週中に戦争を終わらせられるか問われると、トランプ氏は「そうは思わないが、まもなくだ」と述べた。

米国の原油指標であるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は約5%下落し1バレル=93.50ドルで終了。数週間以内に緊急備蓄からの供給が可能になるとの兆候が背景にある。北海ブレント原油も3%近く下げたが、依然として100ドルを上回った。心理的節目とされる100ドルを終値で上回るのは3営業日連続で、2022年8月以来の長さとなった。

世界の原油の約5分の1が通過するホルムズ海峡が事実上閉鎖されたことで、アラブ首長国連邦(UAE)やクウェートなどは原油生産の追加削減を余儀なくされた。それでも一部の船舶は同水路を通過する動きを見せ始めている。

トランプ氏は、「ホルムズ海峡で商業船舶を脅かす能力を打ち砕いている。機雷敷設船を30隻以上破壊した」と述べた。一方で、イランが実際に機雷を敷設したかどうかを米当局は確認できていないとし、「もしそうしていたなら自殺行為のようなものだ」と語った。

また、これまでに7000以上の目標を攻撃したと述べ、イランの「対空防衛は壊滅し、レーダーもなくなり、指導者もいなくなった。それ以外は彼らはかなりうまくやっている」と述べた。

トランプ氏はさらに、イランの主要輸出拠点であるカーグ島への攻撃を拡大し、石油インフラを標的にする可能性を示唆。「5分前の通知で実行できる。すぐ終わる」と述べた。

戦争が17日目に入る中、イランはペルシャ湾各地で新たな標的を攻撃し、UAEの主要石油拠点を攻撃した。UAEのフジャイラ石油輸出ターミナルは16日、ドローン攻撃を受けたことから積み込みを一時停止した。2日連続の攻撃となった。ドバイでも主要空港で一時的に発着を停止し、イランのドローンによる燃料タンク火災のためエミレーツ航空の一部便が欠航すると発表した。イスラエルはイランの首都テヘランのインフラに対して追加の空爆を実施した。

サウジアラビアは東部油田から西岸ヤンブーの港へつながるパイプラインを通じて原油輸送を開始した。これにより輸出の一部はホルムズ海峡を回避できる。英海事貿易機関(UKMTO)によると、戦争開始以降、ホルムズ海峡および周辺海域では船舶への攻撃が16件報告されている。

トランプ氏はフランス、英国、日本、中国などの主要国に対し、軍艦を派遣して商船の護衛に当たり、海峡の再開を支援するよう求めている。

同氏は16日、「他国がわれわれと共に関与し、迅速かつ強い意欲をもって参加することを強く促す」と発言。ルビオ国務長官が協力国を発表するとし、関与する国の一部は「比較的この地域に近い」と語った。

欧州やアジアの同盟国の反応は、慎重姿勢から、あからさまな拒否とまではいかないまでも曖昧な姿勢まで幅がある。欧州では紅海での海軍任務をホルムズ海峡へ振り向ける案の議論が始まっているが、全会一致の承認が必要で、ベルリンなど一部の首都では抵抗がある。アジアでも、日本や韓国など主要な米国のパートナーは艦艇派遣の約束には至っていない。

トランプ氏は16日、「われわれが行ったことを非常に誇りに思う」と述べ、米国の行動がなければイランは核兵器を保有していたはずだと主張。他国は「私に感謝すべきだ」と語った。イランの政権は核兵器開発を否定している。

日本では、滞留するタンカーを護衛するための艦艇派遣の計画はないと政府当局者が述べた。この問題は、19日に予定される高市早苗首相のホワイトハウス訪問を控え、日米関係を複雑にしている。英国のスターマー首相は同盟国と選択肢を検討すると述べたものの、同国も本格的な海軍任務への参加は約束していない。

中国はホルムズ海峡での支援要請に直接の反応を示していないが、人民日報系の環球時報は、米国が始めて終わらせられない戦争のリスクを拡散しようとする試みだと批判した。

原題:Trump Demands Help With Hormuz, Threatens More Kharg Strikes (2)(抜粋)

(トランプ氏の発言などを追加し、原油相場を更新します)

--取材協力:Devika Krishna Kumar、Paul Richardson、Dan Williams.

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