高市早苗首相は13日、地元の奈良県内で韓国の李在明大統領と首脳会談を行い、経済安全保障分野での協力に向けて関係部局間で議論を進めることで一致した。

高市首相が会談後の共同記者発表で明らかにした。日韓首脳間のシャトル外交の一環として行われた会談では、サプライチェーン(供給網)における協力について踏み込んだ議論を行った。日韓、日韓米の安全保障協力を含む戦略的な連携の重要性についても認識したという。

今回の首脳会談は台湾有事を巡る高市首相の国会答弁を発端に、日中関係が冷え込む中で行われた。6日には中国が軍事利用が可能なデュアルユース(軍民両用)物資の輸出を全面的に禁止すると発表。レアアース規制を強化する可能性もあるとされている中で、日韓の戦略的な協力関係を確認した形だ。

両首脳は今後もシャトル外交を継続していくことで一致。国境を越えた組織的詐欺への対応に関しても、これまでの協力を加速するための文書を策定することで一致した。北朝鮮の完全な非核化に向けても、日韓、日韓米で緊密に連携して対応していくことを改めて確認した。

両首脳は20分間、少人数での会談を行った後、70分の全体会合を行った。高市首相は全体会合の冒頭、「日韓関係の戦略的重要性について共通認識のもとしっかりと話をすることができた」と発言。「両国が地域の安定に連携して役割を果たしていくべきという考えを新たにした」と述べた。

李大統領は、複雑化し、めまぐるしく変化する国際秩序の中で「両国が協力することはいつもより、何よりも重要」だと強調。日韓の間には「一時期痛ましい過去の経験があった」とした上で、マイナスなことは「うまく管理」し、「最小限にとどめていくことが大事」だと述べた。

両首脳による対面での協議は、昨年10月の会談、11月の懇談に次いで3回目となる。昨年10月に韓国・慶州で行った初の首脳会談では積極的なシャトル外交の実施で一致。次回は李氏が奈良県を訪問したい旨を高市氏に伝達し、高市首相も応じる意向を示していた。

米国との関係を重視していた尹錫悦前大統領とは異なり、李大統領は外交バランスを重視する姿勢を示す。李大統領による訪中直後に行われた今回の日韓首脳会談では、日韓関係の重要性が増す中で首脳間の個人的な信頼関係の構築が焦点だった。

会談に同席した佐藤啓官房副長官は、前回の会談以上に日韓関係や地域情勢について「非常に突っ込んだ議論ができたと感じた」と記者団に語った。日韓の信頼関係について「少しレベルが上がった」との見方を示した。

日中韓協力

両首脳が未来志向の関係構築に意欲を示した一方、李大統領は日中韓協力の必要性も強調。会談では「北東アジアの韓国、中国、日本の3カ国が、可能な限り共通点を見いだし、意思疎通を図り、協力していく必要性を強調した」と、共同記者発表で述べた。

李大統領は今月5日には現職の韓国大統領として約6年ぶりに訪中し、習近平国家主席と会談。中国国営中央テレビ(CCTV)のインタビューで中国との関係は韓国にとって「極めて重要だ」と述べ、台湾問題を巡っては「一つの中国」原則を堅持する立場を改めて示していた。

一方で、7日には訪問先の上海で「われわれにとって、日本との関係は中国との関係と同じくらい重要だ」と記者団に語った。

12日にはNHKとのインタビューで、日中関係について「深く介入・関与する問題ではない」とした上で、北東アジアの平和と安定という面では「対立・対決は望ましくないので、中国と日本が対話を通じて円満に解決するのを待つしかない」との見方を示した。

ブルームバーグ・エコノミクスのヒョソン・クォン氏らは、李大統領の訪中直後に行われた今回の日韓首脳会談は、李大統領が「経済と地政学上のトレードオフをいかに均衡させるかを試す場となる」と指摘。「親中でも反中でもない実用主義を、日韓関係の具体的な進展へと結び付けることが課題」としていた。

共同通信は13日、高市首相が23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散する意向を自民党幹部に伝えたと報じた。今週は李大統領のほか、イタリアのメロ-二首相が15日から17日の日程で来日し、高市首相と会談する予定。市場関係者の間では、解散の正式表明は日伊首脳会談後との見方が出ている。

(会談冒頭と共同記者発表の内容を追加して更新します)

--取材協力:Soo-Hyang Choi.

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