トランプ米大統領が宣言したベネズエラ石油産業の再建は、実現までに長い年月と1000億ドル(約15兆7000億円)もの投資を要する膨大な賭けになり得る。

長年の政治的腐敗と投資不足、火災、盗難で荒れ放題の石油インフラをピーク時の状態に戻すには、シェブロンやエクソンモービル、コノコフィリップスなど米大手が年間100億ドルを10年間は費やす必要があると、ライス大学ベイカー公共政策研究所で中南米エネルギー政策を担当するフランシスコ・モナルディ氏は分析する。

「より早い回復にはさらに多額を投じる必要があるだろう」と同氏は述べた。

Photographer: Jesus Vargas/Getty Images

ベネズエラには世界最大の原油埋蔵量があるが、マドゥロ政権下の12年間で産油量は約4分の1に急減。日量約100万バレルに落ち込んだ。

ルビオ米国務長官は4日、ABCとのインタビューで「米石油会社にまだ話をしていないが、極めて強い関心があるのは確実だ」と述べた。

 

石油会社はまず政情の安定を重視すると、かつて国営ベネズエラ石油(PDVSA)幹部を務めたリノ・カリージョ氏は釘を刺す。「企業が本気で投資を検討するにはまず、新たな議会の設置が必要であり、今の状況では無理だろう」と述べた。

動画:トランプ米大統領が宣言したベネズエラ石油産業再建について、ブルームバーグ・インテリジェンスが解説します

インフラの劣化と損傷も深刻だ。かつては1日で完了したスーパータンカーへの原油積み出しは、現在では5日かかる。可採埋蔵量5000億バレルと推定されるオリノコ地帯では、採掘リグが放置され、パイプラインの原油漏れや、白昼堂々の窃盗、火災が相次ぎ、金属部品はブラックマーケットで売られている。首都カラカスから北西に位置するパラグアナ製油所は、頻繁に故障し、時々しか稼働しない。

エルパリト製油所の港湾に停泊する石油タンカー

米企業では唯一、特別ライセンスの下でベネズエラに残っているシェブロンが、同国産油の約25%を担っている。アナリストによれば、エクソンとコノコフィリップスにも再参入が期待されている。両者は2000年代半ば、チャベス政権下で資産を接収され撤退していた。

エクソンとコノコフィリップスにコメントを求めたが、現時点で返答はない。エクソンはかつて、適切な状況においてのみ、ベネズエラ投資を検討すると述べていた。

 

政治的移行の見通しは極めて不確実だ。制裁は変わらず、米海軍による海上封鎖も続いている。トランプ氏はロドリゲス副大統領(暫定大統領)が政権を担っていると述べたが、ロドリゲス氏はマドゥロ氏の盟友である。

戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアフェロー、クレイトン・シーグル氏は「石油企業は計画の更新を始めるが、基本的な政治的安定の兆しが見えるまではコミットメントはしない」と述べた。

カルドン製油所の沖に見える石油タンカー

世界の原油供給が需要を上回り、国際価格は5年ぶりの低水準にあることも、石油企業にとってベネズエラ復帰のハードルとなっている。過去に接収された資産に関する未返済債務や補償も多額にのぼる。

クリアビュー・エナジー・パートナーズのマネジングディレクター、ケビン・ブック氏はただ、価格とリスクプレミアム次第で企業は再進出に関心を示すだろうと指摘する。

「非常に不確実な状況を乗り越えるには、好条件が必要になる」とブック氏はインタビューで述べた。「ベネズエラで資源を収益化する能力のある企業は、埋蔵資源の規模を無視しないだろう。政治的安定の兆しが見え、好条件の契約が確保できるなら動き出すはずだ」と話した。

原題:Trump’s Venezuela Oil Revival Plan Is a $100 Billion Gamble(抜粋)

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