(ブルームバーグ):オーストラリア最多の人口を抱えるニューサウスウェールズ州は、シドニーのボンダイビーチで起きた銃撃殺傷事件を受け、シドニー全域で警備を強化する。同国は対テロ体制を見直しており、当局は軍による支援の可能性も排除していない。
ニューサウスウェールズ州のミンズ首相は28日、当局として警備体制の見直しを進めており、住民は年末から新年にかけて、ライフル銃やショットガンなどを携行した警察官の増加を目にすることになるだろうと述べた。
ボンダイで14日に起きた事件では、「イスラム国(IS)」に触発された父親と息子の2人の武装犯が、ユダヤ教の祝祭「ハヌカ」の行事の最中に15人を殺害した。当局はこの事件をオーストラリア史上最悪のテロ攻撃と位置づけている。父親はその後の銃撃戦で死亡し、24歳の息子は殺人やテロ関連など59件の罪で起訴された。
ミンズ氏は、政府が部隊の派遣を含む広範な措置を検討していると述べ、追加の警備体制を巡る協議が継続していることを確認。「シドニーのユダヤ人社会の生活を再建する大きな課題がある。どんな選択肢も除外するつもりはない」と語った。
州政府と連邦政府は今回の事件を受け、情報機関や地域指導者との連携を含め、過激主義への対応を強化する一連の措置を打ち出してきた。先週にはニューサウスウェールズ州政府が州議会の緊急会合を招集し、個人が保有できる銃器の数を制限する措置などが承認された。
州政府はまた、ISやイスラム組織のハマス、ヒズボラの旗など、過激主義的なシンボルを公共の場で掲示することを禁止する。
連邦レベルでは、アルバニージー首相が、暴力の扇動や人種的中傷を助長する人物を対象としたヘイトスピーチ規制法の強化や、分断を広める組織や個人を取り締まる権限の拡大などを発表している。
原題:Sydney Could See Army Patrols After Bondi Attack, Premier Says(抜粋)
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