「画家のクセが見抜けるようになった」“画商”だった過去
“稀代の贋作師”は、どのようにして生まれたのか。
画家である父の影響で、幼い頃から絵を描く技術を身につけたベルトラッキ氏。ある日、ピカソの作品を完璧に模写し、周囲を驚かせたと言う。

転機となったのは10代後半。画商をしていたときのことだった。
いつしか「どんな絵画が売れるのか」。さらに「画家のクセも見抜けるようになった」と振り返る。
ヴォルフガング・ベルトラッキ氏
「家族から手紙がきたら、その筆跡で誰からか分かるだろ。絵を描くのも、それと全く一緒さ。画家がどのくらい時間をかけて、どう描くのかが分かるんだ」
画商としての経験が、思いがけず、ベルトラッキ氏を贋作師の道へと向かわせたのかもしれない。

2010年に詐欺容疑で逮捕され、翌年、裁判で有罪となったベルトラッキ氏。服役が終わった後も、ベルトラッキ氏の行為を許すまいと動く人たちがいる。美術犯罪を手がけるドイツのベルリン州警察の専門チームだ。