(ブルームバーグ):オーストラリアで海水淡水化プラントの拡張が加速している。平均降雨量が減少する中、増加する人口の需要を満たす狙いだ。
オックスフォード・エコノミクスのドミニク・マクナリー氏による調査リポートによると、人が住む大陸として世界で最も乾燥したオーストラリアでは、この10年間で11基の海水淡水化プラントが新設または拡張される見込みだ。総額は230億豪ドル(約2兆4000億円)を超える。
マクナリー氏は、「人口増加の予測から、2035年までに主要都市の家庭用水需要が年間190ギガリットル(GL)増える見通しだ。加えて、急成長するデータセンター産業が都市部の水使用量を急拡大させる恐れがある」と指摘。「こうした需要増は、主要人口密集地での平均降雨量の減少と重なり、既存インフラの脆弱(ぜいじゃく)性を高めている」と分析した。
オーストラリアでは2010年以降、深刻な干ばつの緩和とともに水関連施設の建設活動は鈍化した。しかし近年の乾燥傾向を受け、水資源の安全保障への関心が再燃。海水淡水化を含む水インフラ投資の新たなブームが起きているとマクナリー氏は指摘する。
乾燥・半乾燥地帯が多い南オーストラリア州などの家庭では干ばつ時の夏季給水制限が常態化している。オックスフォードは今後10年で一部地域の飲料水需要が10%以上増加すると予想している。
産業用需要も旺盛だ。鉱山会社BHPグループは南オーストラリア州の銅鉱山プロジェクトに8億4000万豪ドルを投じる。オックスフォードによると、周辺の資源開発と合わせ、鉱業・精錬活動の拡大に対応するため、スペンサー湾の海水を利用する淡水化プラントが必要となる。
原題:Australia Poised for Desalination Boom as Water Shortages Loom(抜粋)
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