(ブルームバーグ):ウォール街の株式予想担当者は強気で知られるが、2026年に関する現時点での楽観度合いには、一部市場関係者の間で懸念が広がっている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、大手金融機関のセルサイドのストラテジストが示したS&P500種株価指数の年末目標は、ここ約10年で最も狭い範囲に集中している。
最高予想はオッペンハイマーの8100、最低はスタイフェル・ニコラウスの7000で、年間見通しの差はわずか16%だ。
このように足並みがそろった見方は、一般的に逆張りのシグナルとされる。全員が同じ方向に傾くと、不均衡はいずれ修正されやすいためだ。しかも、足元ではリスクが顕在化している。インフレは依然として米連邦準備制度理事会(FRB)の目標を上回っており、金融緩和への期待は失望にさらされやすい状況にある。失業率はここ数カ月、着実に上昇しており、人工知能(AI)への巨額投資もいまだ収益化には至っていない。
それでも、ストラテジストの平均では、米国株は26年に約11%上昇すると見込まれている。既に3年連続で2桁のリターンを記録した後であってもだ。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「見通しがこれほど一致し、集中しているというのは気掛かりだ」とし、「全員が同じことを予想しているのであれば、それは定義上、既に市場に織り込まれている。特に利下げや減税、AIの継続的な優位といった似通った前提に基づく見方が多い場合はなおさらだ」と述べた。
オッペンハイマーとドイツ銀行は、S&P500が来年12月末までに8000の節目を超えるとみている。最も慎重なスタイフェルの7000やバンク・オブ・アメリカ(BofA)の7100でさえ、19日終値からの小幅な上昇余地を示唆する。
こうした強気姿勢は、企業利益を押し上げる経済成長を前提としている。楽観派は、減税や規制緩和が経済活動を下支えするほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)が0.25ポイントの利下げを2回行うとの予想も追い風になるとみる。一方で悲観派は、そこに慢心があると受け止めている。
ラウンドヒル・ファイナンシャルのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)は、「S&P500種の目標値がこれほど狭い範囲に集中すると、期待は十分織り込まれており、予測が脆弱(ぜいじゃく)になり得ることを示唆している。つまり、市場は小さな失望にも敏感になる」と指摘。「全員が同じ側に乗っていれば、景気後退がなくても、利益未達や政策のサプライズ、余地のないポジション取りだけでボラティリティーは高まり得る」と述べた。
S&P500の予測値公表はウォール街で長年続く慣行であり、大手金融機関から専門特化型の投資会社まで、アナリストが毎年末に数値を示す。ただこうした予測は、一貫して外れることで知られている。パイパー・サンドラーのデータによれば、S&P500の目標値は実際の指数の動きに約2カ月遅れて追随する傾向がある。個別銘柄の目標株価でも同様の傾向が見られる。
パイパーのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・カントロウィッツ氏は「市場の方向性の方が、コンセンサス目標の変化を先取りする指標として優れており、コンセンサス目標が市場の先行指標になるわけではない」と指摘。「ストラテジストは、自身が強気か弱気かを示す略号として目標値を出しているのだと思う」と述べた。
またBNPパリバの株式・デリバティブ戦略担当の米国責任者、グレッグ・ブートル氏は「相場が着実に上昇していることで、誰もが総じて楽観的になっていること自体がリスクだ」とし、「最も可能性の高い結果は上昇だとも考えられるが、そうなると、外部ショックが生じた場合にその影響がより大きくなり得ることを意識せざるを得なくなる」と語った。
原題:Bullish Equity Analyst Consensus Is a Worry for Some Investors(抜粋)
--取材協力:Matt Turner.
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