11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比上昇率が2カ月連続で3%台となった。日本銀行による利上げを支える材料となる。

総務省の19日の発表によると、コアCPIは前年同月比3.0%上昇した。伸び率は前月から横ばいで、市場予想と一致した。日銀の目標の2%以上となるのは44カ月連続。電気代の上昇を主因にエネルギーが2.5%上昇と伸びが拡大した。一方、生鮮食品を除く食料は7.0%上昇と、4カ月連続で伸びが縮小。コメ類が37.1%上昇と鈍化した。

日銀は19日の金融政策決定会合で政策金利を現在の0.5%程度から0.75%程度に引き上げる公算が大きい。今回のCPIの結果は日銀の物価見通しにおおむね沿っており、金融政策の正常化路線をサポートする内容と言える。

明治安田総合研究所の藤田敬史エコノミストは、物価の「基調は変わっていない」ようであり、日銀は粛々と利上げを進めるとの見方を示した。その上で、今会合で見込まれる利上げで政策金利は30年ぶり高水準となるため、今後は「やや慎重に状況を見ながら進める」と分析。来年は後半、10月あたりでの利上げを見込んでいる。

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生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは3.0%上昇と伸びが縮小。市場予想と一致した。3%台は8カ月連続。総合指数は2.9%上昇と、2カ月ぶりに3%を下回った。市場予想と同じだった。

ブルームバーグ・エコノミクスの見方

「コアCPIは3%と2%のインフレ目標を大きく上回っており、日銀は基調的な物価動向が0.75%への利上げを十分正当化できると自信を深めるだろう。本日の会合で利上げが決定されるという市場予想をさらにサポートする内容だ」

木村太郎シニアエコノミスト

賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.6%上昇と、前月から横ばいだった。日銀の植田和男総裁は1日の講演で、景気が緩やかに回復し、労働需給がひっ迫する中で、賃金上昇を価格に転嫁する動きも続き、サービス価格も緩やかに上昇していると説明。賃金から物価への波及が継続するかどうかを注視している。

都内を歩く買い物客

賃上げ動向を巡っては、26年春闘で連合が3年連続5%以上を目指す方針を示すなど、前向きな動きが続いている。日銀が今月初めに実施した来年度の企業の「賃上げスタンス動向」調査では、本店と32支店のうち29は、高い伸びとなった25年度並と回答。「上回る」も2支店あった。

物価高対策を最優先課題と位置づけた高市早苗政権の下、経済対策の財源の裏付けとなる2025年度補正予算が16日に成立した。政府は消費者物価(総合)の押し下げ効果について、電気・ガス料金補助で来年2-4月に平均0.4%ポイント、ガソリンの暫定税率廃止により年間を通じて0.3%ポイント程度と試算している。

総務省の説明

  • 11月支払い分から電気・ガス代補助が終了した影響でエネルギーは前月から伸びが拡大。都市ガス代は昨年に燃料費調整単価が上昇した反動で伸び縮小
  • 生鮮食品除く食料は、チョコレートやコメ類の価格上昇率が前年に拡大していた反動でマイナス方向に寄与
  • 生鮮食品の伸びは縮小。前年に価格が上昇したリンゴやミカンが今年は下落
  • コアCPIの上昇品目は405、下落品目は81、変化なしが36。前月はそれぞれ400、83、39

(エコノミストコメントと背景を追加して更新しました)

--取材協力:横山恵利香.

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