利上げで物価は下がる?日銀が抱えるジレンマ
高柳キャスター:
利上げはあくまで手段であってその先で物価は下がるのか、という点に注目が集まっているわけですが、実際のところ物価は下がるのでしょうか?
TBS報道局経済部 出野記者:
焦点は19日に行われる、会合後の植田総裁の会見です。そこでどこまでインフレ抑制の覚悟を示すのか、というところが注目されます。

あまりに踏み込みすぎて「この先も利上げをどんどんやります」と言ってしまうと、急激に円高が進み、その結果、例えば株式市場が大きく反応して株価が下落してしまう懸念もあります。
一方で、それを気にしてあまりに慎重になりすぎると、市場から「利上げはこれで打ち止めだ」と見られてしまい、さらに円安が止まらなくなって物価高に繋がってしまいます。
日銀は、このジレンマに今挟まれてる状況です。そのため、間をうまく縫いたいというのが本音だと思いますが、物価の番人としての覚悟をどこまでにじませるかが注目だと思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
もう一つ付け加えると、国が持っている借金が1000兆円を超えているため、踏み込みすぎて金利が上がっていくと、日本の財政もかなり厳しい状況になります。借金にかかる金利が上がって、日本の借金がさらに雪だるま式に大きくなるためです。
日本が抱えている莫大な借金が、日銀に対して非常に重い負担になっているということも忘れてはいけないと思います。
井上貴博キャスター:
もともと高市総理は、物価高を抑えるためには財政出動で、利上げに関しては後ろ向きな発言が多かったわけですが、いま中長期的にはどのような想定でいるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回異例だったのは、日銀が全国にある支店を使って、大企業・中小企業に対して「賃上げがどのくらいあるか」を相当詳細に調べていることです。どうもかなり賃上げがありそうだというデータが集まってきたので、それを植田総裁が高市総理にも伝えたところ、高市総理が「それなら仕方がない」と引っ込めました。
そういう意味では、賃上げのサイクルがうまく回っていることが、今回の日銀の利上げの追い風になったというところがあると思います。
出水麻衣キャスター:
日銀の発表では「日銀用語」のようなものも使われますが、19日にどのような言葉が出れば、我々はどのようなシグナルだと受け止めればいいでしょうか。
TBS報道局経済部 出野記者:
注目はこの先どこまで、あるいはどれくらいのペースで利上げをするのか、この最終的な到達点と、この先のペースを見ていくというのが一つの見方だと思います。
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<プロフィール>
出野陽佳
TBS報道局経済部 日銀/金融担当
円安を恐れてしばらく海外旅行に行けず
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年