“物価高の番人”日銀に冷ややかな声も

高柳キャスター:
今回利上げを容認した高市総理ですが、2024年9月には「金利を今上げるのはアホやと思う」、25年10月には「金融政策にも責任を持たなきゃいけないのは政府」と発言してきました。そして11月、高市総理と日銀の植田総裁が初会談を行いました。

TBS報道局経済部 出野記者:
総理の周辺には、利上げに対して基本的に慎重な姿勢を示す経済ブレーンの方が多いのですが、やはり足元のマーケットを見ていると、かなり円安が進んでしまっています。これは、政府が重視する物価高対策といった観点からも、あまり喜ばしくない動きだと受け止めているようです。

関係者にも話を聞いたところ、政権も、円安や債券が売却される動きを気にしていて、実際に野党にも批判されることもあるので、これもまた嬉しくないと思っているようです。そのため、今回の利上げについては容認する姿勢のようです。

ただ一方で、この先どうかというと怪しいところもあります。私が取材した範囲でですが、今回の利上げのタイミングに懐疑的な考えを漏らす場面もあったといいます。そのため、この先、日銀が利上げを続けられるのかどうかは、引き続き政府との間合いを調整する必要がありそうです。

高柳キャスター:
中長期的にはまだわかりませんが、ひとまずは利上げをする公算が高まっている中で、日銀の植田総裁は12月1日の会見で次のような発言をしています。

「為替レートは円安に進みますと、場合によっては基調的物価上昇率に影響する可能性にも注意が必要だと思います」

このように円安が物価上昇につながる可能性に言及しましたが、インフレや物価高はもう4年も続いているわけですから、利上げをするのが少し遅くないかという見方もありますよね。

TBS報道局経済部 出野記者:
今回、利上げに踏み切れば2025年1月以来となり、「その間に円安がかなり進んでしまった」という指摘も上がっているのは事実です。

実際に関係者からも、「進んだ円安を利上げで食い止めるのではなく、もっとテンポよくやっていれば、そもそもこれほど円安が進まなかったかもしれない」という声も聞かれています。

日本銀行は“物価の番人”と言われていますが、東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、「日本銀行が本気で円安・物価高を鎮圧する気概があるのか、マーケットは疑念を持っている」と指摘しています。