(ブルームバーグ):15日の日本市場は日経平均株価が反落。米国のハイテク株安を受けて半導体関連を中心に売りが優勢だった。円の対ドル相場は一時154円台に上昇。債券はもみ合いだった。
株式はソフトバンクグループやアドバンテストなどの下げが目立った。米国で半導体メーカーのブロードコムの決算が投資家の目線を下回ったことや、オラクルがOpenAI向けに進めるデータセンターの完成時期延期などを受けてハイテク株が大幅に下落した。
東京海上アセットマネジメントの若山哲志シニアファンドマネジャーは、オラクルの決算が今一つで、同社のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が2022年のピークを超えて上昇してきていることから、人工知能(AI)関連株には少し不安が高まりやすい状況だと指摘。現段階では個別の懸念に限られているものの、CDSが落ち着くまでAI関連株への懸念は続くとの見方を示した。
株式
日経平均の下げ幅は一時800円を超えた。アシンメトリック・アドバイザーズの日本株ストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は、前週末の米AI株安は「AI関連の巨額投資計画や収益失望への許容度が低下していることを示すこれまでで最も強いシグナルだった」と解説。年末にかけて投資家のリスク選好が回復する可能性は低く、ソフトバンクGやフジクラなど日本の関連株には「まだ利益確定売りの余地が残っている」と話した。
TOPIXは続伸。日本銀行の今週の利上げがほぼ確実視される中、三井住友フィナンシャルグループが連日で上場来高値を更新するなど銀行株が上昇。個別では株主優待を実施すると発表した楽天グループも買われた。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、インフレが定着してきていることや為替の円安を考えれば日銀がタカ派的になる可能性があり、「金融株に対する追い風はしばらく続く」との見方を示した。不動産株にはインフレヘッジの買いが入っている可能性があるとも述べた。
為替
円は対ドルで一時154円台に上昇。日銀がこの日発表した企業短期経済観測調査(短観)や企業の2026年度「賃上げスタンスの動向」、木原稔官房長官らの発言がいずれも利上げを後押しする材料と受け止められ、主要10通貨の中でも円の上昇が目立った。
三井住友銀行市場営業統括部の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、この日の材料は「いずれも利上げを正当化するのに十分」だと指摘。その上で、市場は日銀が今後も利上げ打ち止めの印象を与えないようなコミュニケーションを取ると期待していると話した。
日銀短観は大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がプラス15と前回9月調査のプラス14から改善し、市場予想と一致。中小企業は製造業が予想を上回った。26年度の賃上げスタンス動向は、大半の先で高い伸びとなった今年度並みとの回答となった。
セントラル短資FX市場業務部の富永貴之部長は、木原官房長官が金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるべきだなどと述べたことについて、日銀が利上げ判断を主体的に進めやすいとの受け止めにつながったと説明した。来年以降の追加利上げを巡り「日銀は思ったよりタカ派になり得る」との評価が広がり、ロンドン時間でも材料視される可能性があると述べた。
債券
債券相場はもみ合い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、日銀の利上げと利上げ到達点の引き上げはおおむね織り込んでおり、長期金利(新発10年債利回り)の「2%手前では押し目買いが喚起されやすい」と語る。ただ、「日銀会合の結果を見極めるまで投資しづらいため出来高も少なく、どっちつかずの展開だった」と言う。
鶴田氏は日銀短観について「今週の利上げを正当化する内容だが、予想の範囲内で債券相場の反応は限定的だった」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
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--取材協力:横山桃花、アリス・フレンチ.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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