日本製鉄は12日、収益力向上に向け、米国事業を含め今後5年間で計6兆円規模の投資を行うと明らかにした。

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

日本製鉄が同日発表した中期経営計画によると、同投資額は買収した米鉄鋼大手USスチールに対する2028年末までの約110億ドル(1兆7000億円)の投資を含む。

また、中期計画の最終年に当たる30年度には連結実力利益1兆円以上、自己資本利益率(ROE)10%程度との目標も示した。株主還元については中期計画中の1株あたり年間配当額の下限を24円とする目標を掲げ、配当性向には年間30%程度を目安とする方針を継続するとした。

少子高齢化などに伴い国内の鉄鋼需要は減少傾向が続いており、日本製鉄は成長が見込める米国など海外事業の拡大を目指している。約1年半に渡る交渉を経てUSスチールの買収を今年6月に完了し、今後は老朽化した設備更新や技術移転を通じて同社を再生できるかが焦点となる。

今井正社長は都内で開いた記者会見で、「ここまで国内の事業改革を進めて、海外の成長投資を進めてきて、世界ナンバーワンに復権するピースは全てそろっている」と述べた。その目標を達成するには、改革により国内事業の収益力が改善し、USスチールの買収も実現した「今しかないタイミングだ」と続けた。

今井社長によると、中期計画期間の間は厳しい事業環境が続く前提を置いており、投資によってキャッシュアウトが先行するとして「5年間トータルでみてもフリーキャッシュフローはマイナス」になるとの見通しを示した。そのため「資金の調達は不可欠だ」と述べ、どういったポートフォリオで賄っていくかについて検討を進めているとした。

中期計画によると、海外では米国のほか、欧州、インド、タイを重点地域とし、設備投資に加えて「日本製鉄の技術ノウハウを最大限移転し、鉄源一貫体制を強化する」。

(会見でのコメントを追加して更新します)

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