(ブルームバーグ):米下院を総額9010億ドル(約140兆円)規模の国防権限法案を可決した。同法案には、海外企業のインサイダー(内部者)による自社株売買の開示を義務付ける規定が盛り込まれた。米投資家に不利益をもたらす抜け穴をふさぐ狙いだ。法案は上院に送付された。
法案は米証券法を改正し、海外企業の役員や取締役が自社株を売買した際に米国企業と同様に2営業日以内の報告を義務付ける。米証券取引委員会(SEC)の現行ルールは、インサイダーによる好機を捉えた取引を抑止する目的があるが、一定の情報開示・報告義務が免除されている海外企業には適用されていない。
ペンシルベニア大学でインサイダー取引を研究するダニエル・テイラー会計学教授は、透明性に問題があるほか、意図的に株価をつり上げて売り抜ける「パンプ・アンド・ダンプ」と呼ばれる市場操作の取り締まりを阻害していると指摘。海外企業の幹部に開示義務がなければ、株価急騰時にインサイダーが利益を得たかどうかを投資家を把握するのは困難だと述べた。
SECはコメントを控えた。
テイラー氏やシカゴ大学およびニューヨーク大学の研究者らが実施した調査によると、米当局の監視が及びにくいロシアや中国などの企業幹部の間で、機に乗じた株式売却が確認されているという。法案には、外国の法制度が米国の規制と実質的に同等だとSECが認めた場合、企業や個人を対象から除外できる規定も盛り込まれた。
原題:Foreign Insiders Face SEC Stock Trade Disclosures Under Bill (2)(抜粋)
--取材協力:Lydia Beyoud、Roxana Tiron.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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