ベッセント米財務長官は11日、金融規制緩和に向けた動きを継続する方針を示した。インフレ高止まりやアフォーダビリティー(暮らし向き)に対する有権者の懸念が広がる中で、経済安全保障を強化するトランプ政権の取り組みを強調した。

ベッセント氏は「経済成長は金融の安定に不可欠だ」と、金融安定監視評議会(FSOC)の2025年の年次報告書に添えた書簡で指摘した。FSOCは08年の金融危機を受けて設立された。

トランプ政権当局者は既に今年、一連の金融規制の大幅な見直しに着手。米国債市場での仲介機能を制限しているとして金融機関が批判していた自己資本規制の緩和や、金融危機後に導入されたレバレッジドローンに対する規制の撤廃などが含まれる。

規制当局幹部はこれらの措置を必要な改革と熱心に支持する一方、監督を弱めて規制を緩和すればリスクを高めることになりかねないとの批判の声も上がっている。

こうした中でベッセント氏は11日、規制が「過度な負担となり、経済成長に悪影響を与えることで、金融の安定を損なう」ことになっていないか、当局として精査するとコメント。「新たな規制の費用対効果分析は通常、そのルール単体でのコストを評価」するもので、「規制や監督体制の累積的な負担や、個々のルール同士の相互作用はほとんど考慮されていない」とも論じた。

ベッセント氏は財務長官としてFSOCの議長も務めており、これまでも経済成長促進の名の下で、財務省が規制分野で一段と大きな役割を果たすとの方針を表明してきた。

FSOCが26年に注力する重点分野として、ベッセント氏は市場のレジリエンス(回復力)、家計のレジリエンス、人工知能(AI)、危機管理の四つを挙げた。

このうち「家計レジリエンス作業部会」は、「家計のバランスシートにおける潜在的ストレスの早期警戒指標を検討」するとともに、家計の信用アクセスに関するトレンドや住宅・住宅ローン市場の動向を分析するとしている。

原題:Bessent Emphasizes Economic Growth in Bid to Ease Regulation (1)(抜粋)

--取材協力:Katanga Johnson.

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