ふるさと納税の寄付で受けられる税額控除について、政府・与党は『金持ち優遇』との指摘を受け、年収1億円で上限を設けます。また、いわゆる『1億円の壁』の是正にも乗り出します。

ふるさと納税は寄付額から2000円を引いた金額が住民税などから控除され、返礼品も受け取れる制度ですが、高所得者ほど寄付による控除額も増え、高額な返礼品を受け取れることから『金持ち優遇』との批判もあります。

こうした指摘を踏まえ、政府・与党は来年度の税制改正で、寄付による控除額に制限を設ける方向で最終調整しています。

具体的には、単身か共働きの場合、給与収入1億円以上で控除額に上限を設けます。上限は2027年から設けられ、控除を受けられる寄付額の上限は438万円程度となります。

さらに、政府・与党は、年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がるいわゆる『1億円の壁』の是正にも乗り出します。

自民党 小野寺五典税調会長
「いわゆる『1億円の壁』というようなものがございますので、極めて高い所得の方々に対しては税の公平性の面から、私ども税率については少し上げていきたい」

給与所得の所得税率は収入に応じて最大45%まで上がりますが、株式の売却益など金融所得にかかる所得税率は一律15%のため、金融所得の割合が高い富裕層ほど所得税率が下がる傾向にあります。

これを是正するため、政府・与党は現在、年間所得が30億円以上の超富裕層に課している追加の税負担を6億円以上の人にも求める方向で最終調整しています。2027年の所得から適用され、対象者はおよそ2000人、税収は数千億円程度増える見通しです。

超富裕層への課税強化は、与野党6党が合意したガソリンの暫定税率の廃止に伴う代替財源の一つとされていました。