(ブルームバーグ):小泉進次郎防衛相は10日夜、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長やイタリアのクロセット国防相と相次いでテレビ会談し、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射問題について「強い懸念」を共有した。
防衛省の発表によると、小泉防衛相は6日のレーダー照射や9日の中国とロシアの爆撃機による東シナ海から太平洋にかけての共同飛行について両氏に説明した。ルッテ氏とは「緊密に連携していくことを確認した」としており、中国のこうした行動に対して冷静かつ毅然(きぜん)と対応していく重要性を小泉氏が強調したという。
中国の王毅外相は、英国やフランスやドイツの外相と相次いで会談。台湾問題に関する立場を説明し、支持を求めている。これを受け、国際社会のより広範な支持を得ようとする日本の動きの一環とみられる。
木原稔官房長官は11日の記者会見で、小泉氏の電話会談に関して、日本政府の政策や立場について各国の理解を得ることは極めて重要だと説明。「引き続き国際社会に対してわが国の立場や考えを適時適切に説明、発信していく」と語った。
グラス米駐日大使は10日、米国務省報道官による「中国の行動は地域の平和と安定に資するものではない」などとするコメントをX(旧ツイッター)に投稿した。
同コメントには、「日米同盟はかつてないほど強固で結束している。同盟国である日本に対するわれわれのコミットメントは揺るぎなく、本件およびその他諸問題において緊密に連携している」とも記されている。
台湾有事が日本の集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るとした高市早苗首相の先月の国会答弁以降、日中関係は悪化している。中国は日本への渡航自粛呼び掛けなどの措置に動いている。
レーダー照射問題を巡っては、両国による非難の応酬となっている。中国側は、事前に連絡した飛行訓練を自衛隊機が妨害したと主張。小泉氏は10日の会見で訓練の規模や空域、時間などの「危険の回避のために十分な情報はなかった」と反論した。
(第4段落に木原官房長官の発言を追加して更新しました)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2025 Bloomberg L.P.