(ブルームバーグ):米ソフトウエア大手のアドビは10日、今後1年においてアナリスト予想を上回る売上高を見込んでいることを明らかにした。人工知能(AI)機能がクリエーティブソフト事業の成長を後押ししていることをうかがわせた。
同社の発表によれば、2026年11月に終了する今年度の売上高は、259億-261億ドルが見込まれる。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では、このレンジの下限水準が見込まれていた。一部項目を除いた1株当たり利益は23.30-23.50ドルを予想し、アナリスト予想の平均23.37ドルとおおむね一致する。
シャンタヌ・ナラヤン最高経営責任者(CEO)は発表資料で、今回の見通しは「世界的なAIエコシステムにおける同社の存在感の高まりと、AIツールの急速な普及」を反映したものだと述べた。
アドビに対しては生成AIが事業を揺るがすとの懸念がくすぶっていた。「フォトショップ」などのアプリに搭載されたAI機能はすでに数百億回利用されているものの、グーグルの動画生成モデル「Veo」など、人気の高いツールは他社製だ。このため自社機能の認知を広げる狙いで、アドビは同日、フォトショップと「アクロバット」をOpenAIのAIアシスタントChatGPTに統合し、ユーザーに無償提供すると発表した。
10日の米株式市場でアドビは通常取引を343.13ドルで終えた後、時間外で約1%上昇した。株価は年初来で約2割下げており、セールスフォースなど他のアプリケーションソフト大手も同様の動きとなっている。
ジェフリーズのアナリスト、ブレント・シル氏は決算発表前のノートで「AIによる混乱への懸念が、アプリケーションソフト全体と同様にアドビを悩ませている」と指摘した上で、「投資家が市場に戻るには、AI混乱への懸念を払しょくするような大幅かつ持続的な加速が必要になる可能性が高い」と述べた。
原題:Adobe Gives Strong Sales Growth Outlook, Easing Concern About AI(抜粋)
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