発電設備など電力インフラを手掛ける米GEベルノバは、今後数年間にわたり天然ガス火力発電に旺盛な需要が続くとの見通しに基づき、株主還元策を拡充する。9日の投資家向け説明会で発表した。配当を2倍に引き上げるとともに自社株買い枠を増やす。

同社は、多くの建設が予想されるデータセンターや人工知能(AI)の利用で膨らむ電力需要の恩恵を受ける。2024年初めにゼネラル・エレクトリックから分社化し、25年には株価が約86%上昇。9日の時間外取引でさらに約5.7%上昇した。S&P500種株価指数の構成銘柄で今年のパフォーマンスが最も好調な銘柄の一つとなっている。

「AIは現在の確かに大きな推進力だが、それだけではない」と、スコット・ストレイジック最高経営責任者(CEO)は同日のインタビューで語った。「われわれは今後、多くのキャッシュを生み出す。そのおかげで攻めの戦略が可能になる」と話した。

また、28年までの売り上げ見通しを従来の450億ドルから520億ドル(約8兆1500億円)に引き上げ、調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)マージンも14%から20%に上方修正した。

同社は、四半期配当を1株当たり50セントに引き上げ、自社株買い枠を60億ドルから100億ドルに拡大。現在1350億ドルの全受注残高は、28年末までに約2000億ドルとする計画で、そのうち電化部門は300億ドルから600億ドルへの倍増を見込む。

利益率については、発電および電化部門で予想を上回るものの、風力部門ではやや弱含みとみている。発電および電化部門は、28年までに調整後EBITDAマージンがいずれも22%になるが、風力部門は6%どまりとみる。

AIバブルへの懸念やそれがエネルギー分野に及ぼす影響をめぐって、テックや電力関連企業の株価は不安定な動きを見せている。だが、ストレイジック氏は同社の業績見通しを引き合いに、そうした懸念を一蹴した。

ストレイジック氏は、テックや電力業界はいかなるバブルの状況にもないと述べた。10-12月(第4四半期)は、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)向けの売り上げが過去最高となる見込みで、来年はさらなる拡大を確信しているという。「この規模は確実に拡大している」と語った。

原題:GE Vernova Doubles Dividend, Boosts Buybacks With AI as ‘Driver’(抜粋)

--取材協力:Joe Carroll.

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