米CMEグループが運営するシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で先月、データセンターの冷却システムの問題により世界的に取引が中断する障害が発生したが、このデータセンターではその約12時間前から技術的な問題が生じていたことが、ブルームバーグが確認した機密報告書で分かった。

シカゴ郊外にあるデータセンターを運営するサイラスワンは米中部時間11月27日午前4時19分(日本時間同日午後7時19分)に異常が出始めたことをCMEなどの顧客に通知した。この日は感謝祭の祝日で米市場は休場だった。

その後、午前10時19分にも、問題を認識するよう促すテキストメッセージを送付した。ただ市場参加者が実際に問題に気付いたのはさらに後で、アジア時間帯に取引が突然停止し、市場関係者の間に動揺が広がった。この障害は東京からロンドンまでさまざまな市場に混乱をもたらした。

KKRとグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)傘下のサイラスワンが作成した11ページの分析報告書は、今回の障害に対するCMEの対応に疑問を投げかける内容となっている。CMEの障害時復旧計画はニューヨーク地域のデータセンターへの切り替えを想定しているが、CMEは当時得ていた情報から短時間の障害にとどまると判断し、バックアップ施設への切り替えを見送った。

Photographer: Jim Vondruska/Bloomberg

サイラスワンの担当者は12月6日にブルームバーグ・ニュースに送った声明以上のコメントを控えた。同声明では、今回の問題が人的ミスに起因すると説明していた。またCMEも6日の声明に言及し、サイラスワンが分析をまとめたことを認めた上で、同データセンターの「初期の対応が問題をさらに悪化させた」と付け加えた。

報告書によると、データセンターで最初に問題が発生したのは11月27日午前3時40分。サイラスワンは前日、低温に備え冷却塔を新しい運転モードに切り替えていた。この作業が所定の手順に沿っていなかったことが、最終的に冷却塔の過熱につながった。

原題:CME Data Center Woes Started 12 Hours Before Markets Opened (1)(抜粋)

--取材協力:Lynn Doan.

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