(ブルームバーグ):米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の争奪戦は2026年まで長期化する公算が大きくなっている。買収を巡って対峙(たいじ)するNetflixとパラマウント・スカイダンスの両陣営は長期戦を見据えて準備を進めている。
WBDはパラマウントが8日に提示した1株当たり現金30ドルの敵対的買収案に対し、10営業日以内の回答を求められている。事情に詳しい関係者によると、WBDの取締役会は一度拒否した同案を受け入れず、先週Netflixと締結した買収合意を維持する構えだ。破棄すればNetflixに28億ドルの違約金を支払う必要がある。
これにより次の一手はパラマウント側に委ねられた。数カ月にわたり膠着(こうちゃく)が続くと見込まれる買収合戦で、パラマウントは1月8日にWBD株を1株30ドルで買い取る株式公開買い付け(TOB)を実施できるほか、期限延長、Netflixとの合意差し止め訴訟、買収条件の引き上げなどの選択肢がある。
米ウォルト・ディズニーで大型案件を手掛けた経験を持つケビン・メイヤー氏は9日、UBSメディアカンファレンスで、買収額がさらに50億ドルか100億ドル積み増される可能性があると指摘。「取締役会が拒否した提案と同じ条件で株主に直接持ち込んでも勝算は低い」と述べた。
WBDの株主は争奪戦に伴う条件引き上げを期待している。パラマウントの提案はWBDの企業価値を負債込みで1084億ドルと評価している。一方、Netflixはスタジオやストリーミング、HBO部門を対象に現金と株式を組み合わせた提案をしている。
非公開協議の内容だとして匿名を条件に語った関係者によると、両社とも提示額を引き上げる余地があると伝えているという。
パラマウントは次の一手に出る前に、WBDの株主からどれだけ支持を得られるかを見極める必要がある。パラマウントのデービッド・エリソン最高経営責任者(CEO)は、政界やウォール街を回り、提案への支持取り付けに奔走している。米投資家マリオ・ガベリ氏を含む一部の投資家は、少なくとも現時点ではパラマウント案への支持を表明している。
機関投資家やヘッジファンドなど大口投資家は、両提案の精査を進める見通し。こうした投資家は通常、TOB期限の数日前に最終判断を下すケースが多い。
最大の波乱要因は政治情勢だ。パラマウントはNetflix案の方が規制面でのハードルが高いと主張している。政治家やハリウッドの労働組合もNetflix案に懸念を示している。
原題:Warner Bros.’ Bidders Brace for a Fight That Will Last Months(抜粋)
--取材協力:Michelle F Davis.
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