「息子には広い世界を」 父が抱える葛藤

ガブリエルくんの父、エレセさんも子どものころからアサイーを収穫してきた一人です。小学校3年生で学校を辞め、病気の父に代わって家計を支えてきたといいます。

「アサイーが高く売れて生活が良くなった。食べてくれる世界中の人に感謝しています」

アサイー人気の今、“取っても取っても間に合わない”状態。しかし、現場は人手不足です。それでもエレセさんは、どんなに忙しくても息子に学校を優先させています。

「息子には多くのことを学んで、いつか自分の道を切り開いて欲しい」

家業を継ぐ以外の選択肢を持てなかった自分のようにはならず、広い世界を見て欲しい。
そんな思いはガブリエルくんにも伝わっています。

芽生えた夢 疲れていても学校へ

ガブリエルくんの部屋には一台のパソコンがあります。父が買ってくれたものだといいます。

「将来は午前中にアサイーを収穫して、午後からパソコンに関する仕事か美容師ができたらいいな」

カブリエルくんは、両親が自分の選択肢を広げようと努力してくれることへの感謝を何度も口にしました。

早朝からの収穫を終えて川で汗を流すと、ガブリエルくんは学校に向かう船に乗り込みます。どんなに疲れていても学校に通うのは、両親の思いに応えたいからです。