(ブルームバーグ):自動車メーカーのステランティスは、イタリアのミラフィオーリ工場で小型車「フィアット500」のハイブリッドモデルを来年約10万台生産する。イタリアで生産を増強するとの約束を果たす。
ステランティスはフィアット500の完全電気自動車(EV)モデルの需要が低調なため方針を転換し、今月からハイブリッドモデルの生産を開始した。ハイブリッドモデルの価格は1万6950ユーロ(約306万円)からだが、需要は伸び続けていると、フィアット部門の最高財務責任者(CFO)、オリビエ・フランソワ氏が25日開かれたトリノでのイベントで説明した。
ハイブリッドモデルは「トリノ」と名付けられ、イタリア製を強調。ステランティスのカルロス・タバレス前最高経営責任者(CEO)は低コスト国への生産移管を進めてメローニ首相の怒りを買ったため、ジョン・エルカン会長は同国の労働組合やディーラー、政府との関係修復に取り組んでおり、「トリノ」はその象徴的な存在となる。
イタリア金属労働者連盟(FIOM)と労働組合連盟(CISL)によると、ステランティスの今年1-9月の同国での自動車生産台数は前年から36%減少し、わずかに15万台を上回る程度だった。
6月に新たにCEOに就任したアントニオ・フィローザ氏は25日、イタリアに20億ユーロ投資し、同国内のサプライヤーに今年だけで60億ユーロ発注する計画を堅持すると表明した。ミラフィオーリ工場では「トリノ」生産を支えるため400人を追加雇用する計画で、来年3月に第2シフトの導入も予定している。
ミラフィオーリ工場はイタリアのトリノにあり、かつては約5万人が働くフィアット車生産の中心地だった。1970年代の最盛期には、生産台数は年60万台を超えていた。
原題:Stellantis Swings Output to Fiat 500 Hybrid in Italy Renaissance(抜粋)
--取材協力:Alberto Brambilla.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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