11月4週(25-28日)の日本株は値動きが荒くなる見通し。人工知能(AI)投資の過熱感や米国金融政策の不透明感が重しになる。高市早苗政権の経済政策を受けた金利や外国為替の動向も焦点だ。

3週の東証株価指数(TOPIX)は反落し、週間の下落率は1.8%と4月1週以来の大きさになった。米エヌビディアの決算発表を通過してもAI投資の持続性や関連銘柄の高水準なバリュエーション(株価評価)を巡る懸念は根強く、日本株は米ハイテク株の動向に左右される展開が続く可能性がある。

米国で利下げ期待が後退していることも、相場を不安定にしやすい。このような中、政府閉鎖で公表が遅れていた9月の小売売上高と生産者物価指数(PPI)の発表が25日にあり、同月の耐久財受注も26日に公表予定。ただ、市場予想と大幅に乖離(かいり)がない限り、12月の政策金利据え置き観測は変わらないとの見方が多い。

政府が閣議決定した減税などの効果を含めた21兆3000億円規模の経済対策が与える債券・為替相場への影響も注目点になる。財政悪化懸念などから金利が一段と上昇し、円相場が急変すれば、株式市場にもネガティブに働きかねない。

国内では、27日に日本銀行の野口旭審議委員の講演と記者会見がある。28日には総務省が11月の東京都区部消費者物価指数(CPI)を発表する。10月の生鮮食品を除くコアCPIは前年同月比2.8%上昇と前月から伸びが拡大した。

《市場関係者の見方》

東洋証券の大塚竜太ストラテジスト

AI関連株のバリュエーションなどを巡る議論は続き、日本株は上下に振れる落ち着かない展開だろう。米利下げを巡る不透明感も、もやもやと残る。高市政権の経済対策については、債券市場の財政悪化への懸念が国内の株式投資家にもじわじわ波及してきている。ただ、海外投資家の目線からは前向きに評価する余地があるのではないか。

ピクテ・ジャパンの田中純平投資戦略部長

来週も急ピッチで長期金利が上昇すれば、株式の売りを誘発する可能性がある。為替相場の円安がさらに進行した場合も政府介入への警戒感が高まり、株式市場は軟調になりそう。日銀審議委員の発言も、当面は為替動向を受けた影響が焦点となる。

--取材協力:石川英瑠.

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