(ブルームバーグ):Netflixの大ヒットアニメミュージカル「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ(KPop Demon Hunters)」のファンにとって、このホリデーシーズンに最も手に入れたいのは、悪魔と戦う3人組のK-POPアイドルをモデルにしたアクションフィギュアや人形、ぬいぐるみだ。
だが、大半の玩具は年内には発売されず、今買えるのは一部の小売店やNetflixの公式オンラインストアで販売されているカードゲーム、木製オーナメント、スマートフォン用グリップ、アパレル製品など、ごくわずかだ。
消費者向け商品の製造・輸送に必要な時間、そして想定を超えた熱狂的な人気の広がりを踏まえると、映画に着想を得た主要な玩具の大半が完成するのは来年初めから半ばにかけてとなる見込みだ。
遅れは、子どもたちに人気のクリスマスプレゼントを届け、年末商戦の熱気を最大限に生かしたい玩具メーカーや小売業者にとって痛手だ。
アドビによると、米国の消費者によるオンライン支出は11月から12月にかけて2500億ドル(約38兆5000億円)を超え、2024年比で5.3%増加すると予想されている。
Netflixは玩具発売の遅れを大きな問題とは見ていない。同社にとって、玩具や衣料品は収益源というよりも番組のマーケティング手段だからだ。
同社にとって真の課題は、KPop Demon Huntersを自社が権利を持つ初の大ヒット子ども向けキャラクタービジネスに育てられるかどうかだ。それができれば、クリスマスまでに同アニメのキャラクターを模したバービー人形を店頭に並べることよりも、はるかに大きな長期的収益につながり得る。
子ども向けメディアのコンサルタントで、ウォルト・ディズニーの元幹部、エミリー・ホーガン氏は「全てを事前に計画して、今年のクリスマス商戦に向けて豊富な商品をそろえられていれば理想的だった」と指摘。その上で、Netflixとパートナー企業が今後の展開で失敗しなければ、ファンの関心は今後数カ月から数年にわたって続くと予想する。「NetflixはKPop Demon Huntersを本格的なキャラクタービジネスに育て上げる好機を迎えている」とみている。
小売業者や玩具メーカーには、6月のKPop Demon Hunters公開前に準備する十分な時間があった。悪魔の勢力から地球を救おうと戦う3人のアイドルを描くこの作品について、Netflixは数年前から小売業者に企画を持ち込み、映画の詳細とともに将来的な商品展開のアイデアも提示していたからだ。
しかし、完全オリジナルのアニメーション作品には大きなリスクがあると見なされ、業者の関心は薄かった。
KPop Demon Huntersは、監督らが長期間にわたって手直しを重ねたものの、関係者の誰も、これほどの大ヒットを予想していなかった。しかし、口コミとキャッチーなサウンドトラック、そしてオンライン上での熱狂的なファン層の広がりによって、瞬く間にNetflix史上最も人気の高い映画となり、今年を代表する作品として定着した。
再生回数は3億2500万回を超え、4カ月以上にわたって同社の人気映画ランキング上位にとどまり続けている。サウンドトラックも依然としてビルボードのチャート上位にランクインしている。
(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
原題:KPop Demon Hunters Toys Won’t Hit Shelves in Time for Christmas(抜粋)
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