中国発祥のネット通販「SHEIN(シーイン)」がフランス・パリで常設店をオープンしました。ただ、大量生産・大量消費のやり方に反発する声も上がるなど、混乱が広がっています。

パリにある創業100年以上の老舗百貨店にオープンした中国発祥の「SHEIN」。面積1200平方メートルの巨大店舗で、その場で購入できる実店舗としては世界初となります。


「お手頃な価格で本当に素晴らしいです。3800円(22ユーロ)です。幸せよ。本当に素晴らしい」
「これは娘に買いました。また2人で来たいと思っています」

「SHEIN」は、世界およそ160か国でネット通販を展開。大量生産で低価格を実現し、次々と新商品を打ち出す「ウルトラファストファッション」とも呼ばれ、Z世代を中心に人気です。

百貨店とSHEIN、双方のトップが写る看板まで掲げる力の入れようですが…

記者
「百貨店の前で抗議活動が行われています。シーインはいらないと、過重労働や環境汚染が行われている疑いがあると書かれたチラシを配っています」

生産の際の中国での過重労働、大量消費によって環境問題を引き起こしているなどと、市民から反発が起きているのです。抗議活動は店内でも…。

さらに、児童ポルノにあたる可能性がある人形を販売していたとして、フランス当局が通販サイトを一時停止する手続きを始める事態も起きています。

一方で、百貨店ではこんな異変も…

靴メーカー創業者
「SHEINは私たちのブランドとは価値観がまるで違います。同じ場所で販売されるなんて受け入れられません」

10年以上前から出店していた靴メーカーは、先月、撤退しました。この店では、靴を回収し、再利用するなど、環境への配慮を大切にしていますが、SHEINの出店は大量廃棄を助長するとして、抗議のため、撤退を決めたといいます。

靴メーカー創業者
「私たちは長持ちする商品を作りたいのです。使い捨てのファッションとは全く違います」

フランスの有名ブランド「アニエスベー」も撤退を表明するなど、混乱は広がっています。

とはいえ、長引く百貨店不況のなか、巨大店舗を出店し、新たな客層を見込めるSHEINに期待せざるを得ない事情が百貨店側にもあります。

百貨店所有会社の会長
「労働者の権利を守って作られたものしかありません。私たちは人を分断させるのではなく、楽しい買い物の時間を提供したいだけです」

こうした事態に、当のSHEIN側は…

SHEIN側
「不必要な生産を回避し、環境負荷の軽減に努めている」

常設店を持つことで信頼を得たいSHEINですが、難しい船出となりました。