米地区連銀総裁3人が、先の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ決定を支持しない考えを示した。「12月会合での追加利下げは既定路線ではない」とのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の警告を裏付ける形となった。

ダラス連銀のローガン総裁とクリーブランド連銀のハマック総裁は10月31日、ダラスで開催された会議で、金利据え置きが望ましかったと述べた。これに先立ち、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、FOMC会合で利下げに反対票を投じた理由を説明する声明を発表していた。

次回12月FOMCまでに激しくなると見込まれる議論の口火を3氏が切った格好だ。FOMC内では現在、労働市場を支えるために追加緩和が必要だとする当局者と、インフレ懸念を優先する当局者の間で意見が分かれている。

カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は利下げに反対票を投じた

ローガン総裁は「想定より速いインフレ鈍化や一段と急激な労働市場の冷え込みに関する明確な証拠がない限り、12月に再び利下げをするのは難しいと私自身は考える」と講演テキストで述べた。

先のFOMC会合では2会合連続での0.25ポイント利下げが決まった。夏場に雇用が急減速したことを受け、労働市場への懸念が強まったことが背景にある。

パウエル議長は会合後の記者会見で、12月の追加利下げは既定路線ではないとし、FOMCメンバーの一部がインフレを懸念していると説明した。

ドイツ銀行証券の米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏は12月には据え置きよりも利下げに対して、より強い抵抗が見込まれるとし、「それがパウエル氏がタカ派的な発言を行った理由の一つだ」と指摘した。

ローガン、ハマック両氏は今年、FOMCの投票権を持たないが議論には参加している。FOMC会合では、金利据え置きを主張したシュミッド氏に加え、0.5ポイントの利下げを求めたマイラン理事も反対票を投じた。

シュミッド氏は31日の声明で、「私の見立てでは、労働市場はおおむね均衡しており、経済は勢いが継続していることを示している。そしてインフレは依然として高過ぎる」と述べた。

金利先物市場の動向によると、投資家は依然として12月の利下げ確率を5割強と見込んでいる。

ウォラーFRB理事はこの日、FOXビジネスとのインタビューで、12月の追加利下げが妥当との見解を示した上で、「現在、最も懸念しているのは労働市場だ」と述べた。

中立金利

経済を刺激も抑制もしない中立金利を巡っても当局者の見解は分かれている。

ハマック氏はダラスで開催された会議で、アトランタ連銀のボスティック総裁とのパネル討論に登場し、今回の利下げにより自身の中立金利の推定値に「ほぼ一致する」水準に達したとの見方を示した。そして、「インフレを目標水準まで引き下げるためには、一定の引き締めを維持する必要があると考えている」と語った。

一方、ボスティック氏は利下げ後も金融政策は依然として「引き締め的な領域」にあるとの認識から、「最終的には利下げ決定を支持した」と説明した。

パウエル氏は29日の会見で、金融政策は依然「やや引き締め的」と考えているが、金利水準は今や「多くの中立金利の推計に合致する3-4%の範囲内」にあると認めた。

バランスシート

ローガン総裁は、FRBのバランスシート縮小を12月1日に終了するというFOMCの決定については支持したことを明らかにした。バランスシートが正常な規模に近づいていることを、短期金融市場の動向が示しているためだという。

短期金融市場でここ数週間、短期金利が上昇していたことを受け、FOMCは3年ほど続けていたバランスシート縮小を終了すると発表した。

ローガン総裁はバランスシートのランオフ(償還分を再投資しないなどの手段で保有証券を削減すること)を終了すれば、資金調達圧力を和らげるのに寄与するとの認識を示した。

原題:Logan Joins Schmid in Opposing Fed Rate Cut, Citing Inflation、Fed ‘Chorus’ Comes Out Against Latest Cut, Citing Inflation (2)(抜粋)

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