米ボーイングは29日、開発中の大型ジェット旅客機「777X」について、49億ドル(約7460億円)の損失計上と、運航開始時期の延期を発表した。航空機納入台数の増加で資金繰りは改善しているものの、ボーイングの回復にはまだ長い道のりがあることを示すものだ。

同日に発表された7-9月期(第3四半期)決算では、1株当たり損失が7.47ドルで、アナリスト予測の4.44ドル以上の赤字となった。売上高は232億7000万ドルで、予想の223億ドルを上回った。

ボーイングが開発中の大型ジェット旅客機「777X」

ボーイングは777Xに関連し、総額160億ドル近い費用を計上している。戦略的に重要な意味を持つこの機体は、厳しい規制審査の中で7年の遅延が生じており、現在は2027年の就航を予定している。トランプ政権の支援で航空機受注が急増する中にあっても、同社は経営の安定化に向け依然として複数の課題に直面している。

ケリー・オートバーグ最高経営責任者(CEO)は、従業員向けのメモで「私たちはより確信ある計画で前進し、業績改善に向けた措置を講じている」と強調した。

29日のニューヨーク市場の時間外取引でボーイング株はほぼ横ばい。株価は年初から28日の終値時点までで26%上昇していた。

一方、第3四半期のフリーキャッシュフローは予想を上回り、737と787ドリームライナーの生産が今年着実に改善していることを裏付けた。顧客を苛立たせ、半世紀にわたり財務を圧迫してきた両モデルの高コストな生産遅延や、品質問題からの脱却を意味する。

777Xはボーイングの人気機種777の改良版で、同社が生産する最大の民間航空機だ。A350で競合しているエアバスも、29日に決算を発表する。777Xの最大の購入者のエミレーツ航空や、ローンチカスタマーのドイツのルフトハンザ航空といった航空会社は、ボーイングが同機の導入を延期し続けているため、機材更新計画の見直しに追い込まれている。

原題:Boeing Books $4.9 Billion Charge With 777X Jet Moved to 2027 (1)(抜粋)

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