スイスとの金利差拡大を背景に、日本の個人投資家は店頭外国為替証拠金取引でスイスフランの売りポジションを過去最大規模に積み上げている。

金融先物取引業協会と東京金融取引所のデータを基にブルームバーグが推計したところ、10月のスイスフランの売越額は23日時点で3489億円に達したもようだ。年初から倍増し、2008年までさかのぼれる統計で過去最大になる。

この取引は、主要通貨の中で最も金利が低いスイスと日本の金融政策の方向性が異なることに着目したものだ。スイス国立銀行(SNB)が6月に政策金利をゼロに引き下げたのに対し、日本銀行は1月に0.5%に引き上げ、今後も引き締めを続けるとみられている。

SBI FXトレードの上田真理人取締役は「金利の高い通貨を求めるという観点から、ひたすらスイスフランを売っているのではないか」と話す。

スイスフランのフォワードインプライド金利はマイナス圏にある一方、円の3カ月物の同金利は約0.27%。このため、フランを売って円を買うことでプラスのキャリー(利回り差)収益を得られる。スイスフラン・円の売り建てポジションが積み上がっていることについて、岡三証券の武部力也シニアストラテジストは「政策金利面での広がりしかない」と述べた。

ただし、スポットレートが上昇しているため、金利差からのキャリー収益は「吹き飛んでいる」と同氏は指摘。年初からこの取引を拡大してきた投資家は、現時点でほぼ10%の損失を抱えている。

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.