イングランド銀行(英中央銀行)は、人工知能(AI)の将来性への期待を受けたデータセンター向け融資の点検を進めている。イングランド銀は以前から、テック関連企業のバリュエーション急騰に伴う市場リスクを指摘し、「AIの影響に関する期待が楽観的ではなくなった場合」の急激な調整リスクを警告している。

関係者によると、イングランド銀は現在、AI企業と金融業界の関わりに関心を持っている。現時点では融資規模は小さく、データセンターの初期建設費の大半は株式で賄われているが、今後大幅に増加すると見込まれている。米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、AIの計算能力需要に対応するため、2030年までに世界で約5.2兆ドル(約795兆円)の支出が必要となる。

 

ある関係者は、AI業界の支出が、人材採用から他の用途が限られたデータセンターの建設や資金調達に数十億ドル単位で移行していることをイングランド銀が懸念し、調査を行っていると明かした。

別の関係者によると、現時点では、銀行がAI企業に直接関与しているケースは少ないが、金融業界はデータセンター向けの証券化ローンなどを通じ、間接的にエクスポージャーを有している。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の8月の推計では、データセンター資産担保証券(ABPS)と商業用不動産担保証券(CMBS)の発行残高は、約490億ドルに上る。

この関係者は、イングランド銀はAIブームの中核をなす企業の相互依存関係についても、より深く把握しようとしていると述べた。

イングランド銀はコメントを控えた。

 

原題:Bank of England Probes Data Center Lending Amid AI Bubble Fears(抜粋)

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