(ブルームバーグ):米最大級のプライベートクレジット業者の一角に対し、空売り投資家が利益確定を始め、ポジションを縮小させている。クレジット市場全般のバリュエーションへの懸念で、こうした企業の株価が大きく動いたことが背景にある。
S3パートナーズが21日に発表したリポートによると、上場している「ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)」上位10社に対する空売りを通じて、過去30日間で1億2700万ドル(約193億円)余りの利益が生み出された。
同期間のリターンはプラス8.7%で、これは「空売り勢が年初来の全利益」をこの間に得たことを意味するという。ブルームバーグ・ニュースは同リポートを確認した。
S3によれば、BDC株に対する空売り残高は合わせて約12億2000万ドルに上る。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが集計した別のデータでも、BDCの多くに対する空売り残高がここ数週間で減少傾向にある。
米自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの経営破綻を受け、レバレッジド債務における引き受け基準への懸念が強まったことから、BDCは打撃を受けている。BDCは複数のローンをまとめてファンドに組成している。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は先週、決算発表後のアナリスト向け説明会で、多くのBDCが簿価に対して大幅なディスカウントで取引されている点に注目すべきだと述べた。S&P・BDC指数は今月、同CEOの発言が伝わる前に約3年ぶりの低水準に下落していた。

S3は「信用やデフォルト(債務不履行)の問題がさらに顕在化した場合は、このセクターのボラティリティーが一段と高まるとみられる」とリポートで指摘。
「一方で金利が低下し続け、信用リスクが和らげば、空売り勢が最近の含み益を確定させようと買い戻しに動き、株価を押し上げる可能性がある」と記した。
原題:Short Sellers Pare Wagers Against BDCs After $127 Million Month(抜粋)
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