(ブルームバーグ):ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスは通期利益見通しを引き上げた。過去に人気を博した商品の復刻版であるレトロスニーカーの堅調な需要と、米関税の影響を緩和する取り組みの成功を理由に挙げた。
21日の発表資料によると、2025年通期の営業利益は約20億ユーロ(約3520億円)となる見通し。従来予想は17億-18億ユーロだった。為替の影響を除いた通期売上高は前年比9%増と予想した。
ビヨン・グルデン最高経営責任者(CEO)は、2年前の「サンバ」発売で火がついたレトロスニーカー人気の維持を図っている。このブームを追い風にアディダスは中南米や中国など世界各地で顧客を取り戻し、業界トップのナイキとの差を縮めつつある。
アディダスは通期利益見通しの引き上げについて、ブランドの勢いの強さと、米関税引き上げによるコスト増を一部打ち消すことができたためだと説明。7-9月(第3四半期)は「全ての地域と製品、商品分野、販売ルート」で2桁成長を達成したとした。
この日公表された7-9月期暫定決算によると、為替レートや関税引き上げの逆風にもかかわらず、営業利益は7億3600万ユーロと、アナリスト予想の平均(6億8800万ユーロ)を上回った。売上高は66億3000万ユーロと、予想を若干下回った。
グルデン氏はプーマのCEO時代に、パンデミック下で販売を拡大させたことで知られる。23年にアディダスのCEOに就任して以来、投資家は収益性の改善という公約を実現できるか注目してきた。しかしナイキの再建の取り組みが前進する中、公約の実現は一段と難しくなる可能性がある。
グルデン氏の目下の課題はレトロスニーカーブームの勢いをアパレルやランニングシューズ、バスケットシューズなど他の製品群に広げることだ。同氏は「スポーツ向け部門は全てのカテゴリーと地域で力強く成長している」と楽観的な見方を示した。
アディダスの米国預託証券(ADR)は0.7%安で終了。本決算は今月29日に発表される予定。
原題:Adidas Lifts Profit Target as Samba Boom Withstands Tariffs (1)(抜粋)
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