米小売り最大手のウォルマートはOpenAIと提携し、買い物客が対話型人工知能(AI)「ChatGPT」上で商品を閲覧・購入できるようにする。AI組み込みに向けた最新の動きだ。

ユーザーはChatGPT上で「購入」ボタンをクリックするだけで、ウォルマートの商品を直接購入できるようになる。ウォルマートのAI・製品・デザイン担当上級副社長、ダニエル・ダンカー氏がインタビューで説明した。

商品カタログには、ウォルマートと傘下のサムズ・クラブの衣料品や娯楽品、加工食品などが含まれ、生鮮食品は対象外だ。新機能は今秋中に開始予定という。顧客のウォルマートまたはサムズクラブの既存アカウントは、自動的にChatGPTと連携される。第三者の販売業者からの商品も購入可能となる。

ダンカー氏は今年、ウォルマートのAI導入加速のため、食料品配達プラットフォームのインスタカートからウォルマートに移籍した。

ウォルマートの株価は14日に上昇し最高値を更新。5%高で終了した。

UBSセキュリティーズのアナリスト、マイケル・ラッサー氏は、ChatGPTを利用して商品を探す人が増える中で、ウォルマートの取り組みは競合他社との差別化につながるだろうと指摘。「ウォルマートは新しい技術をいち早く採用し、変化する消費者トレンドをより的確に反映しようとしている」と分析した。

メール作成からレシピ検索まで、人々が日常的にAIを活用する傾向は強まっている。価格比較や総合的な商品レビューが求められる中、買い物も新たなAI活用事例として台頭している。

こうした需要に応え、小売業者は顧客の質問にリアルタイムで回答し、求める商品を見つける手助けとなるツールの試験運用を進めている。

OpenAIは手作り品サイトEtsy(エッツィ)や電子商取引のShopify(ショッピファイ)とも提携しており、ChatGPT利用者は各社の販売者から商品を購入できる。

ウォルマートは全事業でAIを積極的に導入しており、従業員や供給業者、買い物客向けのツールを展開している。従業員は既に在庫発注やスケジュール計画などにAIを活用している。ファッション商品の生産時間短縮など、業務効率化に役立っているという。

今回のChatGPTとの提携により、ウォルマートとOpenAIの協力関係はさらに深まる。両社は、従業員が業務でAIをより効果的に活用する方法を教える認定プログラムの開発でも、共同で取り組んでいる。

原題:Walmart Partners With OpenAI to Offer Shopping on ChatGPT (1)(抜粋)

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